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Hitachi

AI+IoT時代に変わるビジネスの常識(2/2)

― 事業開発者・リーダーのためのITトレンド理解と実践講座 ―

事業開発者が知っておくべきITの3つの基本

これまでITは、業務効率の改善やコスト削減の手段として使われ、その役割を果たしてきました。その前提には、ユーザー現場のたゆまぬ改善への取り組みがあり、情報システムはその成果を反映させることで成果を上げてきました。しかし、既存のやり方の延長線上では十分な投資対効果を得ることができないほどに、IT利用は進んできました。このような現状を革新し、新たなやり方、つまりIoTやAIで、この閉塞感を打開してくれるのではないかと期待されているのです。

これらを利用することで、既存のやり方の改善では実現できなかった劇的なコストの削減や生産性の向上を実現でき、企業は新たな競争力を手に入れることができます。さらに、これまでに無い新たなビジネス・モデルを創りあげ、競争原理を変えてしまう動きも始まっています。

ITの進化がビジネスの変革を促し、ビジネスの変革が新たなITの進化を加速する。そんな循環がビジネスを進化させつつあります。 もはやビジネスにとってITは前提です。ITを味方にしたものだけが、生き残り、勝ち上がってゆく構図が築かれつつあります。

そんな時代にITは判らないから、あるいは苦手だからと遠ざけていては、競争力のある事業を生みだすことはできません。だからといって、ITの専門家になる必要もありません。ITがもたらす価値を正しく理解し、ビジネスの課題をどのように解決してくれるかを理解すればいいのです。 当然システムの開発や構築は、専門家に頼らなくてはなりません。しかし、ビジネスの目標を明確に示し、その実現のためにITがどのように使えそうかの見通しを持つことはできなくてはなりません。そして、かれらの提案や説明を評価できる基本的な知識は必要です。この基本的な知識とは、次のようなことです。

  1. ITに関わるトレンドの全体像あるいはテクノロジーのお互いの役割分担や関係

  2. ITで何ができるようになるのか、あるいは、どのような時代のニーズから生まれてきたのか

  3. 自分たちのビジネスに当てはめて考えたときにどのような可能性があるか

詳細な技術や実現の難易度についても知っているに越したことはありませんが、それらは専門家に頼ることもできます。しかし、ここに掲げた3つの基礎知識がなければ、そんな専門家の説明内容や技術的妥当性を評価することはできません。

事業責任を負うのは自分自身であることを自覚しているのなら、このような知識を持つことは、新規事業開発の基本であると心得ておくべきでしょう。


PROFILE

斎藤 昌義(サイトウ マサヨシ)

PROFILE

ネットコマース株式会社 代表取締役。1982年、日本IBMに入社、一部上場の電気電子関連企業を営業として担当の後、 1995年、当社を設立。外資系企業の日本で事業開発、産学連携事業やベンチャーの企業をプロデュース、 ITベンダーの事業戦略の策定、営業組織の改革支援、人材育成やビジネス・コーチングの他、ユーザー企業の情報システムの企画・戦略の策定などに従事。ITの最新トレンドやビジネス戦略について学ぶ「ITソリューション塾」を2009年より主宰し東京/大阪/福岡で開催。 著書:「システムインテグレーション崩壊」、「【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド」、「システムインテグレーション再生の戦略」、「未来を味方にする技術」、「【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド[増強改訂版]」(すべて技術評論社)。


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