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サステナブルな社会の実現に向けて──日立のマテリアリティ

日立は、サステナビリティを事業戦略の中核に据えた「サステナブル経営」を実践しており、社会イノベーション事業を通じたサステナブルな社会の実現に向けて取り組んできました。
2024中期経営計画においては、「データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現して人々の幸せを支える」ことをめざす姿として掲げています。プラネタリーバウンダリーの9つの領域のうち、すでにいくつかは限界点を超えているなか、日立はそれぞれの限界点を意識し、地球を守り、社会を維持する経営を行います。地球を守ることと、一人一人のウェルビーイングが両立する未来を実現するための社会課題の解決を日立はめざしています。

マテリアリティ分析のプロセス

日立は、社会課題の網羅的な把握を出発点とし、サステナビリティの観点でのリスクと機会の分析を行うとともに、ステークホルダーからのフィードバックを踏まえて、6つのマテリアリティとそれらを構成する15のサブ・マテリアリティを明確化しました。
日立は、このマテリアリティをもとに、サステナビリティ施策の管理を行い、経営会議や取締役会において各マテリアリティの進捗状況や新たな取り組みを議論しています。

マテリアリティ分析のプロセス
マテリアリティ めざす姿
環境
脱炭素と資源循環への貢献
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立は、気候変動領域のイノベーターとして、優れたグリーンテクノロジーで、すべての事業セグメントのお客さまへ価値を提供し、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献していきます。また、サーキュラーエコノミーへの移行に向けて資源循環を推進します。
レジリエンス
社会インフラの維持と迅速な回復に寄与
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立は、自然災害、パンデミック、サイバー攻撃などのリスクに即応できるシステム・ソリューションの提供を通じて、サプライチェーンの迅速な回復や社会インフラの維持に貢献し、人々の安心な暮らしを守ります。
安全安心
安全安心な社会づくりに貢献
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立は、安全安心な暮らしを支える都市づくりを担う、ビル、モビリティ、セキュリティ分野などのソリューション提供を通じて、人々の快適で活動的な生活の実現に貢献します。
幸せな生活
心身ともに健康で豊かな人生に貢献
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立は、より多くの人々が絆を育み、健康で豊かな生活を実現できるように、我々のヘルスケアおよびデジタルテクノロジーで支援します。また、従業員の幸せとウェルビーイングこそが日立の未来をより大きく花開かせる大地であるという思いから、従業員の幸せとウェルビーイングの実現を追求し続けます。
誠実な経営
企業倫理および人権尊重の徹底
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 16 平和と公正をすべての人に
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立は、世界各地の社会インフラを担う企業として、社会から信頼される高い倫理観をもって経営を行い、人権を尊重し、安全な職場環境を提供していきます。誠実な経営を徹底するための仕組みを事業活動および意思決定の基準に反映し、従業員のみならず、協創パートナー、コミュニティとともにサプライチェーン全体で取り組みます。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)
すべての人が生き生きと活躍できる社会への貢献
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日立には、バックグラウンド、年齢、性別、セクシャリティ、家族構成、障がい、人種、国籍、民族、宗教を問わずすべての人のための居場所があります。日立は、従業員を公平に扱い、それぞれの「違い」を認めることにより、すべての人が能力を最大限発揮できるように引き出します。お互いを尊重し、あらゆる違いに価値を置くことを通じて、市場を深く理解し、より良いアイデアを生み、イノベーションを起こしていきます。

マテリアリティを構成する15のサブ・マテリアリティと目標

マテリアリティ サブ・マテリアリティ(目標/KPI) FY2022 進捗
環境
脱炭素と資源循環への貢献
脱炭素 バリューチェーンにおけるカーボンニュートラル 目標/KPI
  • FY2030:事業所(ファクトリー・オフィス)のカーボンニュートラル
  • FY2050:バリューチェーン全体のカーボンニュートラル
事業を通じたCO2削減貢献 目標/KPI
  • FY2024:CO2排出削減貢献量1億トン
資源循環 サーキュラーエコノミーへの移行 目標/KPI
  • FY2024:新規開発製品のエコデザイン全面適用
  • FY2030:製造拠点からの廃棄物埋立率*2ゼロ*3
水の効率的な使用 目標/KPI
  • 水使用量原単位改善率(FY2010比) FY2024:24%、FY2050:50%
自然共生 自然資本へのインパクト最小化
レジリエンス
社会インフラの維持と迅速な回復に寄与
サプライチェーンの強靭化 災害やリスクに対応できる柔軟なサプライチェーンの構築
社会インフラの維持 社会インフラのDXを通じた強靭化と保守高度化 事例 変電所マネジメントによる安定したエネルギー供給への貢献 約19億人*4
安全安心
安全安心な社会づくりに貢献
安全安心な都市環境 安全で快適な移動事例 鉄道サービスの貢献人数 年間のべ約150億人*4
サイバーセキュリティの確保 社会インフラ、業務システムのサイバーセキュリティの確保
幸せな生活
心身ともに健康で豊かな人生に貢献
つながりのある豊かな社会 健康寿命の延伸事例 血液検査等の体外診断:200億検査/年*4
周りとのつながりおよび信頼関係の構築 目標/KPI
  • ハピネスサービス利用者数 FY2024:9万人
従業員の幸せ より柔軟な働き方でエンゲージメント向上 目標/KPI
  • 従業員エンゲージメント(肯定的回答率) FY2024: 71.0%*5
誠実な経営
企業倫理および人権尊重の徹底
企業倫理とコンプライアンス 従業員一人一人が倫理的に行動できる環境づくり 目標/KPI
  • 倫理文化・倫理観に関するアセスメント結果を初年度である2023年度*6に基準スコア60以上(100点満点)を達成し、毎年スコアを向上
人権の尊重 人権デュー・ディリジェンス推進、人権を含む責任ある調達に向けた調達パートナーのモニタリング強化 目標/KPI
  • FY2023:全BU(10BU)および主要グループ会社の人権リスク評価の実施
  • FY2024: 人権リスクへの対応
労働安全 事故のない安全な職場の構築 目標/KPI
  • 死亡災害ゼロ
製品・サービスの安全性 お客さま第一で製品・サービスの安全性徹底
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)
すべての人が生き生きと活躍できる社会への貢献
イノベーションを生む多様な組織 経営のダイバーシティ強化 目標/KPI
  • 役員層の女性および外国人比率FY2030:それぞれ30%
デジタル人財の獲得・育成 目標/KPI
  • デジタル人財 FY2024:97,000人*8
多様で公平な社会への貢献 社会のDEIへの貢献 目標/KPI
  • 次世代人財の育成とエンパワーメント
*1
2024中期経営計画期間3年平均
*2
各地域の規制や条件に適合している場合
*3
0.5%未満
*4
FY2022実績値
*5
当初の目標/KPIを前倒し達成したため、目標を引き上げました
*6
基準年は2022年度から2023年度へ変更しています
*7
2023年4月1日付け人事異動分を含む
*8
日立Astemoを除いた数値へ変更しました
*9
1996年からの累計値
*10
 1990年からの累計値

日立は、15に分類したサブ・マテリアリティを、日立とステークホルダーにとっての重要度の観点からマッピングを行いました。「日立にとっての重要度」に関しては、めざす姿と現状の日立の取り組みとのギャップが大きいものをより重要度が高いと判断しています。

サブ・マテリアリティのマッピング

マテリアリティに関するステークホルダー・ダイアログの実施

2021年度、日本および欧州でマテリアリティをテーマとしたステークホルダー・ダイアログを開催しました。情報開示の専門家やサステナビリティ先進企業、欧州委員会、NGO、国際団体、機関投資家から、日立のマテリアリティ案やそれぞれのマテリアリティに対する施策についてフィードバックを受けました。欧州においては、プラネットセッションとピープルセッションに分け、環境施策、人財や人権尊重に向けた施策について日立から説明を行い、出席者から新たな視点や改善点などの示唆を得ました。

ステークホルダーからの主なコメント

  • 社会が日立に期待するベクトルあるいは日立自身がありたい姿を示してほしい。
  • ダイバーシティ&インクルージョンについては、「エクイティ」も含めた、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」として捉えてほしい。
  • サーキュラーエコノミーに関しては、材料や廃棄物を減らすアプローチだけではなく、新たなビジネスモデルを考えるべきである。
  • 人権およびディーセントワークについては、旧来型のモニタリングや監査といったコンプライアンスアプローチを超えて、外部のステークホルダーとパートナーシップのもとサプライチェーン全体で取り組むべきである。

今後も、日立の事業に関わる多様なステークホルダーの皆さまの意見を反映し、サステナブル経営を推進していきます。

役員報酬評価へのサステナビリティ目標の反映

2023年度に、グローバル企業としてのさらなる成長加速に向けて、企業価値との連動を強化した役員報酬制度へ改定しました。改定後の役員報酬制度は、2024中期経営計画との連動およびサステナビリティ目標の反映を強化しています。
具体的には、短期インセンティブ報酬 (STI) へのサステナビリティ目標の反映について、これまでは個人評価の指標の一つとしていましたが、サステナビリティ評価として独立させてSTI報酬に占める割合を20%に設定しました。
また、中長期インセンティブ報酬(LTI)においても、サステナビリティ目標を達成した場合、基準額の10%相当の株式を追加で付与することとしました。

役員報酬評価へのサステナビリティ目標の反映 改定前/改定後 役員報酬評価へのサステナビリティ目標の反映 改定前/改定後

STIにおけるサステナビリティ評価は、「環境」「誠実な経営」「幸せな生活」などのマテリアリティに基づく評価としており、以下をはじめとするサブ・マテリアリティ目標と連動しています。
今後も日立は、企業価値の向上と報酬を連動させて成長へのマインドを醸成し、One Hitachiでグローバルな成長を実現していきます。

役員報酬と連動するマテリアリティ目標

マテリアリティ サブ・マテリアリティ目標
環境 【脱炭素】
  • バリューチェーンにおけるカーボンニュートラル
  • 事業を通じたCO2削減貢献
【資源循環】
  • 水の効率的な使用
誠実な経営 【労働安全】
  • 事故のない安全な職場の構築
幸せな生活 【従業員の幸せ】
  • より柔軟な働き方でエンゲージメント向上