2018年1月27日,28日に日立製作所オープンラボ横浜にて,自然言語理解技術と新聞記事等のテキストデータを活用したハッカソン*1を開催しました。社会人と学生で合計20名の方が参加し,5チームに分かれて,Webアプリケーションの設計と開発を行いました。金融,出版,建設,鉄鋼,官公庁など,さまざまな分野の方に参加いただきました。
図 1 チームでのアイデア出し
図 2 チームでの開発
本ハッカソンでは,日本経済新聞社の協力により,日本経済新聞,日経産業新聞,日経流通新聞等の記事がすぐに使える状態でデータベースとして準備されており,参加者はそれらをどう使えば経営に役に立つアプリケーションが作れるかをチームで議論しました。また日立のディベート型AIの研究チームから言語理解技術のWeb API*2が提供され,それらを組み合わせて,チームで考案したアプリケーションの実装を進めました。また日立の研究者・技術者も参加し,技術の使い方やアイデアの実現の仕方をサポートしました。
図 3 自然言語処理技術の使い方の解説
図 4 ハンズオンセッション
2日目15:00から,各チームの成果をプレゼンテーションして頂き,実際に開発したアプリケーションを触ってみるTry&Touch(デモセッション)を行いました。
図 5 成果発表のプレゼン
図 6 Try&Touch(デモセッション)
開発されたアプリケーションの例を二つ紹介します。
従業員の声を吸い上げ,経営者に改善を提案するアプリケーションです。働く現場の不満に関するテキストを分析し,不満の解消に関連する新聞記事を表示します。例えば「残業が多い」という声から「残業」という問題を認識し「残業の対策」が書かれている新聞記事を提示します。
会議に関係のない発言を発見するアプリケーションです。会議のアジェンダと出席者の発言内容の関連性を新聞記事中の共起関係を用いて判定します。新聞記事で共起関係がみられない場合,「ずれた」発言だと判定して本筋に戻るよう注意を促します。
図 7 「コトタリ君」のコンセプト
図 8 「部長ずれてますよ」のコンセプト
そのほかにも,新聞記事を分析して技術のシーズとニーズのマッチングを図るアプリケーションや,新規事業の提案を自動審査するアプリケーションも開発されました。どのチームも,日本経済新聞社の新聞記事と言語理解技術のWeb APIを上手く活用し,アプリケーションを実装していました。
参加者投票により見事優勝したチームは,チーム"Long Boy Office"でした。開発したのは,複数の企業に共通する取り組みを抽出し,その取り組みが業績に与えた影響をユーザに提供することで経営判断を支援するアプリケーションです。
図 9 優勝チームのアプリのコンセプト
図 10 優勝チームのアプリのスナップショット
ユーザが参考にしたい企業名を複数入力すると(図10スナップショット左上), Web APIを活用して新聞記事を分析し,複数の企業に関する新聞記事から共通するワードを抽出します(図10スナップショット左下)。さらに,表示されたワード群から経営のヒントになりそうな一つを選択すると,そのワードを含む入力企業の新聞記事と,その新聞記事の前後で入力企業の業績がどう変化したかを表示します(図10スナップショット右上)。このように,ユーザはワードと業績の関係を分析することで,自社の経営に関する気付きを得ることができます。
今後もさまざまな業界の方を交えた協創型イベントを開催していく予定です。
図 11 集合写真