21世紀は「水の世紀」と言われ、世界的な人口増に伴い水需要が増加する一方で、河川や湖沼などの水として存在する淡水は地球上にある水のわずか0.01%にすぎず、水の偏在によるアンバランスが深刻になっています。このため地球環境に配慮しつつ、衛生的な水を需要に応じて安定的に供給することが、従来以上に求められています。
国内では、人口減少社会に移行する中で、安全・安心な水供給、水環境の持続が求められます。さらに過去の「建設の時代」に整備した施設や設備が更新時期を迎えていますが、必ずしも財政状況に余裕がない中で、高齢化に伴う熟練技術者の不足などの課題を解決しながらこれに対応しなければならず、そのためには効率的な事業運営が欠かせません。一方、温室効果ガスの削減という観点から見ると、上下水道分野の環境負荷は比較的高く、低炭素社会の実現と健全な水環境の両立も課題となっています。
コンセプト
日立グループが提唱するインテリジェントウォーターシステム構想は、前述の国内外の課題を解決し、人と自然環境に配慮した水環境を提供するため、監視制御、計装、情報管理、水処理など要素技術のスマート化を進めるとともに、これらをシステムとして連携させます。これにより、水源〜水利用〜再生の水循環における、需要に応じた安全な水の安定供給、自然環境保全、地球温暖化防止、防災、さらには設備の維持管理や効率的事業運営などに関して都市や流域レベルの全体最適を実現します。このため、水環境を「水+情報の流れ」ととらえ、ICT(Information and Communication Technology)を活用して、水質、水量、水圧などの水環境情報をモニタリングする「水環境のトレーサビリティ」を基盤としたシステム化を図ります。
システム構想
GIS : Geographic Information System, 地理情報システム