特集記事:HITACHI USER -ITビジネスNavi Vol.7-
ここ1,2年で急速に広まってきた「ビッグデータ」。
ビッグデータは、人から発信するデータ(インターネット上のあらゆるコンテン ツ)、モノから発信するデータ(社会インフラや企業活動に関連 するデータ)など、ありとあらゆる大量のデータです。(図1)これら の大量で有益な情報をムダにすることなく、新しいビジネスに効 率よく活かしたり、社会へフィードバックすることが期待されてい ます。
図1:社会にあふれる有用な情報
これらのビッグデータを収集し、蓄積、分析、結果をフィード バックするには、ITが不可欠です。日立は、企業ビジネスから、社 会インフラシステムまで幅広くサポートしており、構築・運用・保守 からモノづくりまでをトータルにサポートしています。
流通分野 | 個客指向マーケティング | 保守分野 | 予防保守・運用サービス |
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医療分野 | オーダーメイド医療 | 電力分野 | 電力需給予測サービス |
金融・保険分野 | 顧客細分型 金融・保険サービス |
交通分野 | 人流分析予測サービス |
行政分野 | 世論分析・意思決定支援 | 通信分野 | 通信状況分析サービス |
では、これまでに培ったノウハウを活かしたビッグデータ活用事 例をご紹介しましょう。
ガスタービンは、1機あたり約200個のセンサーを設置しており、ガスタービン保全システム では、それぞれの稼働状況を一括して収集し、分析・監視しています。(図2)
図2:ガスタービン保全システム
課題は、データ量が増加し続けることによって大量のストレージ が必要になったり、データ分析処理にかかる時間が長く、せっかくの データを活かしきれないところにありました。ビジネスの成功には、稼 働情報をリアルタイムに活用することがカギとなります。
ビッグデータを高度に高速に分析、効率よく保管、必要なデータ を高速に検索することが期待されました。
新ガスタービン保全システムでは、稼働情報のライフサイクル にあわせた新技術を適用しました。稼働情報のライフサイクルと は、稼働情報を監視→蓄積→分析→さらに精度を上げた監視へ と続くサイクルです。
適用した技術「ストリームデータ処理」ではビッグデータの高速 分析を、「時系列データストア」ではビッグデータの高効率保管 を行いました。
これらの技術の適用により、ストレージ量を削減、検索 処理を高速化しました。これにより、大量の稼働データ の収集と蓄積、多角的かつ高精度での分析が可能となりました。
課題 |
・データ量の増加により大量のストレージが必要 ・データ分析処理に時間がかかる |
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解決策 |
・データの効率的な保管 ・検索・分析処理の高速化 |
技術 |
・時系列データストア ・ストリームデータ処理 |
効果 |
・ストレージ量を削減 ・検索時間を短縮 |
今回は、ガスタービン保全システムの例をご紹介しましたが、 渋滞情報を把握するために自動車に取り付けられたセンサー、無 線ICタグに記録された情報を読み書きするRFIDなど、各種機器 からリアルタイムに発生するデータの分析に幅広く利用できる事 例と言えます。
●ストリームデータ処理
データを溜めてまとめて処理するのではなく、発生するデータをその都度、 メモリ上でリアルタイムに処理する技術。ビッグデータを高速処理します。
●時系列データストア
時系列データを特性に合わせてカラム単位に圧縮して格納することで、 データ検索を高速化する技術。ビッグデータを高効率保管します。
データセンターを取り巻くビジネス環境は、ITシステムの大規 模化・複雑化の中で、サービスレベルの向上と運用コストの低減 が重要課題となっています。
データセンターの運用コストのうち、空調費低減に向けた課題と取り組みをご紹介します。
課題 |
・局所的な異常検知ができない ・全体の温度を下げて調整 |
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解決策 |
・ラック単位にリアルタイムな温度監視 ・局所的な監視と効率の良い空調制御 |
技術 |
・センサネット(日立AirSenseU) ・ストリームデータ処理 |
効果 | ・空調費削減(実証実験中) |
従来、サーバ室は稼働状況やレイアウトによって温度差がある ところを、『過冷却』で全体をカバーしていました。そこで、サーバ 室全体に加えて、ラック単位・短周期の空調制御を行い、過冷却 を防止し、空調費の全体的な低減に取り組むことにしました。
この結果、(図3)に示すようなラック単位の粒度細かな温度監 視と空調制御を実現しました。
図3:粒度細かな空調制御
ビッグデータを効率よく利活用するには、まずデータのライフサイ クルに応じて、それぞれの段階での適切な処理が必要です。(図4)
【ビッグデータ処理の要件】
(1) リアルタイム監視 (2) 蓄積・検索 (3) 集計・分析
図4:ビッグデータのライフサイクルと処理の要件
日立では、データのライフサイクルに合わせて、データを効率 よく処理するための処理基盤製品を用意しています。(図5)
(1) リアルタイム監視 → ストリームデータ処理
(2) 蓄積・検索 → 時系列データストア技術
(3) 集計・分析 → グリッドバッチ
図5:ビッグデータのライフサイクル
また、技術をうまく活用するための支援として、企業が持って いるビッグデータの活用イメージを事前に調査するアセスメント サービスを提供しています。お客さまの要件や、検討〜利活用ま での段階に応じて、製品やサービスを活用できます。
ビッグデータの利活用は、お客さまの新しいビジネスのイノ ベーションの第1歩として具体化される時期に差し掛かっている と言えます。