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社会にあふれる有用な"情報"

ここ1,2年で急速に広まってきた「ビッグデータ」。

ビッグデータは、人から発信するデータ(インターネット上のあらゆるコンテン ツ)、モノから発信するデータ(社会インフラや企業活動に関連 するデータ)など、ありとあらゆる大量のデータです。(図1)これら の大量で有益な情報をムダにすることなく、新しいビジネスに効 率よく活かしたり、社会へフィードバックすることが期待されてい ます。

図1:社会にあふれる有用な情報
図1:社会にあふれる有用な情報

これらのビッグデータを収集し、蓄積、分析、結果をフィード バックするには、ITが不可欠です。日立は、企業ビジネスから、社 会インフラシステムまで幅広くサポートしており、構築・運用・保守 からモノづくりまでをトータルにサポートしています。

●ビッグデータはあらゆる分野で利活用が期待できます
流通分野 個客指向マーケティング 保守分野 予防保守・運用サービス
医療分野 オーダーメイド医療 電力分野 電力需給予測サービス
金融・保険分野 顧客細分型
金融・保険サービス
交通分野 人流分析予測サービス
行政分野 世論分析・意思決定支援 通信分野 通信状況分析サービス

では、これまでに培ったノウハウを活かしたビッグデータ活用事 例をご紹介しましょう。

【事例】ガスタービン保全システム 〜センサー情報を収集する機器での利用例〜

ガスタービンは、1機あたり約200個のセンサーを設置しており、ガスタービン保全システム では、それぞれの稼働状況を一括して収集し、分析・監視しています。(図2)

図2:ガスタービン保全システム
図2:ガスタービン保全システム

課題は、データ量が増加し続けることによって大量のストレージ が必要になったり、データ分析処理にかかる時間が長く、せっかくの データを活かしきれないところにありました。ビジネスの成功には、稼 働情報をリアルタイムに活用することがカギとなります。

ビッグデータを高度に高速に分析、効率よく保管、必要なデータ を高速に検索することが期待されました。

新ガスタービン保全システムでは、稼働情報のライフサイクル にあわせた新技術を適用しました。稼働情報のライフサイクルと は、稼働情報を監視→蓄積→分析→さらに精度を上げた監視へ と続くサイクルです。

適用した技術「ストリームデータ処理」ではビッグデータの高速 分析を、「時系列データストア」ではビッグデータの高効率保管 を行いました。

これらの技術の適用により、ストレージ量を削減、検索 処理を高速化しました。これにより、大量の稼働データ の収集と蓄積、多角的かつ高精度での分析が可能となりました。

表1:ガスタービン保全システムの課題と効果
課題 ・データ量の増加により大量のストレージが必要
・データ分析処理に時間がかかる
解決策 ・データの効率的な保管
・検索・分析処理の高速化
技術 ・時系列データストア
・ストリームデータ処理
効果 ・ストレージ量を削減
・検索時間を短縮

今回は、ガスタービン保全システムの例をご紹介しましたが、 渋滞情報を把握するために自動車に取り付けられたセンサー、無 線ICタグに記録された情報を読み書きするRFIDなど、各種機器 からリアルタイムに発生するデータの分析に幅広く利用できる事 例と言えます。

●ストリームデータ処理

データを溜めてまとめて処理するのではなく、発生するデータをその都度、 メモリ上でリアルタイムに処理する技術。ビッグデータを高速処理します。

●時系列データストア

時系列データを特性に合わせてカラム単位に圧縮して格納することで、 データ検索を高速化する技術。ビッグデータを高効率保管します。

【事例】データセンター空調監視システム 〜日立グループ内のデータセンターの例〜

データセンターを取り巻くビジネス環境は、ITシステムの大規 模化・複雑化の中で、サービスレベルの向上と運用コストの低減 が重要課題となっています。

データセンターの運用コストのうち、空調費低減に向けた課題と取り組みをご紹介します。

表2:データセンター空調監視システム
課題 ・局所的な異常検知ができない
・全体の温度を下げて調整
解決策 ・ラック単位にリアルタイムな温度監視
・局所的な監視と効率の良い空調制御
技術 ・センサネット(日立AirSenseU
・ストリームデータ処理
効果 ・空調費削減(実証実験中)

全体空調制御から、粒度細かな空調制御へ

従来、サーバ室は稼働状況やレイアウトによって温度差がある ところを、『過冷却』で全体をカバーしていました。そこで、サーバ 室全体に加えて、ラック単位・短周期の空調制御を行い、過冷却 を防止し、空調費の全体的な低減に取り組むことにしました。

この結果、(図3)に示すようなラック単位の粒度細かな温度監 視と空調制御を実現しました。

図3:粒度細かな空調制御
図3:粒度細かな空調制御

ビッグデータの利活用のために

ビッグデータを効率よく利活用するには、まずデータのライフサイ クルに応じて、それぞれの段階での適切な処理が必要です。(図4)

【ビッグデータ処理の要件】
(1) リアルタイム監視 (2) 蓄積・検索 (3) 集計・分析

図4:ビッグデータのライフサイクルと処理の要件
図4:ビッグデータのライフサイクルと処理の要件

日立では、データのライフサイクルに合わせて、データを効率 よく処理するための処理基盤製品を用意しています。(図5)

(1) リアルタイム監視 → ストリームデータ処理
(2) 蓄積・検索 → 時系列データストア技術
(3) 集計・分析 → グリッドバッチ

図5:ビッグデータのライフサイクル
図5:ビッグデータのライフサイクル

また、技術をうまく活用するための支援として、企業が持って いるビッグデータの活用イメージを事前に調査するアセスメント サービスを提供しています。お客さまの要件や、検討〜利活用ま での段階に応じて、製品やサービスを活用できます。

ビッグデータの利活用は、お客さまの新しいビジネスのイノ ベーションの第1歩として具体化される時期に差し掛かっている と言えます。

特記事項

  • この記事は、「会報誌 HITACHI USER 2012年5月」に掲載されたものです。
  • その他記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。