ここで選択されたのが、スケーラブルデータベース「HiRDB Parallel Server」と日立並列OLAP Server「Cosmicube」を活用した日立データウェアハウスソリューションである。
その理由は大きく3つある。
まずは、データウェアハウスソリューションのラインアップしている顧客情報分析テンプレートが、東急百貨店のニーズに即していることだった。年齢別顧客分析、エリア分析、累計来店回数や累計購入金額などをキーに顧客をセグメントするデシル分析、最新購買日や購買頻度から顧客をセグメントするRFM(Recency・Frequency・Monetary)分析などといった機能が、流通小売業の実務に即しており、これによって高度な分析ノウハウを導入当初から活用できる。
また、東急百貨店独自の分析要望も、テンプレートにカスタマイズを加える形で実現可能であったため、短期開発を見込めた。実際、導入決定から2ヵ月後の1999年11月には、システムのテスト稼働を始めた。そして2000年2月には5店舗それぞれに全店展開されている。さらに分析結果からドリルダウンして個人データまで参照する場合も、思考を中断せず迅速な処理が可能であり、利用者の評価が高い。
第2に、“小さく生んで大きく育てる”導入手法が可能であったこと。HiRDB、Cosmicubeの双方に共通するメリットとして高いスケーラビリティがあり、単一システム複数CPUのSMP構成はもちろん、必要に応じてShared Nothing型クラスタ構成にも進化していくことができる。顧客情報システムは飛躍的にデータ量が増大することが予想されたので、これは非常に重要な要件だった。
「このシステムは費用対効果を考え、使いながら育てることを重視しました。鳴り物入りで大規模なシステムを導入して、使えなかった、ではすまないからです。しかし、このデータベースはどんどん成長していくことも確かです。その点、日立のデータウェアハウスソリューションは、将来拡張が必要になってもその時点で最適な対応策を取ることができ、高いパフォーマンスを維持可能であることが確信できました」と、東急百貨店 情報システム部 システム管理 エキスパートスタッフ 菅 義和氏は語る。
そして第3の理由が、システム導入以前の現状分析から、データウェアハウスの構築、活用プロモーション計画まで、専門のコンサルティングスタッフが一貫してサポートする強力な体制だった。
東急百貨店 営業本部 販売促進部 顧客開発 エキスパートスタッフ CSPプロジェクトリーダー 伊藤 正貴氏は、「システムを使いきるためには何をすべきか。日立のコンサルティングスタッフは、役立つ助言をたくさんくれました。私がリーダーを務めるCSPプロジェクトチームの編成案を示してくれたのもコンサルティングの方です。システム開発以前から日立のコンサルティングに入ってもらったこと、百貨店の事情をよく理解しているSEに参加してもらったことは、今回のプロジェクト成功の大きなポイントだったと思います」とサポートの重要性を指摘する。
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