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株式会社 三菱東京UFJ銀行

外為分散システム

サービス向上と行内業務の効率化を目指し
外為分散システムを日立のオープンプラットフォームで再構築。
グローバルビジネスを支える新たな業務基盤を確立

株式会社三菱東京UFJ銀行(以下、三菱東京UFJ銀行)では、外為分散システムの再構築を実施。中国・アジア諸国の経済成長を背景に、この数年間で貿易市場が急速に拡大。顧客企業からの外為業務に対する迅速化・効率化ニーズが一段と高まっている。こうした要求に対応すると同時に、行内業務の効率化を図るのが今回の目的だ。新システムには、銀行業務に不可欠である高い信頼性と可用性、それに将来の業務拡張にも対応できる柔軟な発展性が求められた。こうした要件を満たすものとして選ばれたのが、日立のサービスプラットフォームコンセプトHarmonious Computingに基づく製品群である。

貿易市場の拡大に対応すべく外為分散システムの再構築に着手

根本 武彦氏の写真
株式会社 三菱東京UFJ銀行
執行役員
システム部長
根本 武彦氏

2006年1月に東京三菱銀行とUFJ銀行の合併により誕生した三菱東京UFJ銀行。現在は勘定系システムを接続する「Day1」フェーズを無事完了し、システム完全統合に向けた「Day2」フェーズを推進中だ。

同行ではシステム統合の取り組みと並行して、一つの大きなプロジェクトを進めてきた。それは、同行の強みでもある、外為業務向けシステムの再構築だ。再構築に踏み切った背景について、根本氏は「旧システムは構築からかなりの年月を経ている上、さまざまなサブシステムが個別に稼働していました。こうした状況を早期に改善しないと、今後の競争優位性にも影響すると考えました」と説明する

「日本の貿易市場はこの2年間で11%の成長を遂げており、当行も外為分野におけるマーケットリーダーとして、サービスのさらなる向上を図る必要がありました」と佐藤氏も語る。

顧客サービスの向上に加えて行内業務の効率化にも取り組む

佐藤 武男氏の写真
株式会社 三菱東京UFJ銀行
外為事務部長
佐藤 武男氏

「Trilogy(*1)」と名付けられた新外為分散システムの狙いとしては、まず迅速性・利便性・情報提供性の向上が挙げられる。

「最近では国際物流のスピードが上がっており、金融機関にもより迅速な決済が求められています。また、貿易関連業務の煩雑さを改善すること、お客さまへ提供する情報の質・スピードの向上なども課題となりました」(佐藤氏)。

これらのポイントに加えて取り組んだのが、行内業務の効率化と業務推進への貢献だ。

「効率的でスピーディな業務プロセスの確立と同時に、現場の営業活動を支援できる仕組みの実現を目指しました」と佐藤氏は続ける。

もっとも、これほど大掛かりな改革を一気に進めるのは容易なことではない。特に当時は外為分散システムの再構築だけでなく、Day1プロジェクトも同時に走っていたのである。そこで、機能を3段階に分けてリリースすることに決定。その第一弾として、2007年2月より、輸入業務と輸出業務の一部を本稼働させた。

「今回のリリースでは、主にグローバルサービスセンターで行われる業務を対象として、合理化・効率化を図っています」と佐藤氏。

具体的には、海外銀行に対するLC(信用状)の発行・通知や、船積み書類が到着した際の顧客への伝達、輸出手形の買取などの業務を支援。情報の即時性を高めるために、営業店への端末設置なども行っている。また、同行では他行の外為業務を受託しているが、こうした事務代行サービスについても新システムが利用されている。

BladeSymphonyとLinuxで新システムを構築
日立のオープンミドルウェアやストレージも活用

中山 博文氏の写真
株式会社 三菱東京UFJ銀行
システム部
外為グループ 次長
中山 博文氏

望月 隆氏の写真
株式会社 三菱東京UFJ銀行
システム部
プロジェクトリーダー
外為グループ 上席調査役
望月 隆氏

今回の再構築では、従来のメインフレームに代わってオープンシステムを全面的に採用。そのためシステム基盤には、信頼性・可用性・性能・拡張性のいずれの要件においても、高いレベルを満たすことが求められた。そこで、導入実績や製品の信頼性・将来性、総合力などを判断し、システム開発パートナーとして日立を選定。日立では、コンポーネント指向でオープンシステムに対応した次世代金融ソリューション「NEXTCAP」を提供しているが、新システムにもNEXTCAPのコンセプトやノウハウなどを活用し、開発を進めた。

まずサーバについては、日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」を選択。

「将来的な業務拡張を考えれば、スケールアウト型の拡張が容易に行える製品が望ましい。その点BladeSymphonyは、こうした用途に最適な製品です」と根本氏は説明する。

BladeSymphonyはさまざまなOSに対応しているが、本システムではLinuxが採用された。

「多くの人々の知見が集約されたオープンソース・ソフトウェアは、機能面でもコスト面でも多くのメリットがあります」(根本氏)。

もちろん、高信頼システムを構築するためのノウハウも必要になるが、日立では「Linux信頼性強化サービス」なども提供している。

「このためBladeSymphonyとLinuxの組み合わせを安心して選択できました」と根本氏は続ける。また、統合システム運用管理「JP1」や分散トランザクションマネージャ「OpenTP1」、帳票システム構築支援「EUR」など日立のオープンミドルウェア群も活用。「高信頼システムでは高度なトランザクション管理が要求されますが、OpenTP1はきめ細かな流量制御が行える上に、信頼性も申し分ありません。JP1はこれまで運用の自動化に活用してきましたが、今回も大量のバッチジョブの自動化などに効果を発揮してくれています。また今回の開発では、帳票の新規開発も行いましたが、EURで効率的に作業が進められました」(望月氏)。

ストレージもBladeSymphonyと親和性の高い「Hitachi Storage Solutions」を採用。

「ディスク障害などのトラブルがほとんどない上に、パフォーマンスも非常に高い。特別なチューニングなどを行わなくとも、期待通りの性能を発揮してくれました」(望月氏)。

センターの事務効率は大幅に向上 適用業務のさらなる拡大を図る

新システムが稼働したことで、同行の外為業務環境は大きく進化した。「ドキュメンタリーの外為システムとして、昨年リリースした外為WEB(外為ステーション)と合わせてインフラの完成が実現されました」(望月氏)。

「端末をリッチクライアント化したため、高度な専門知識を持たないスタッフでも、容易に業務が行えます。また画面に表示されたイメージデータを見ながら入力できるなど、システムの操作性は大幅に改善されました。さらに、営業店に配置した端末から情報を参照できますので、お客さまへの情報提供スピードも飛躍的にアップしました」(中山氏)。

今回のリリースはあくまでも第一弾であり、今後も輸出業務の拡大や送金業務の取り扱いなどが予定されている。「多様化する外為ニーズに確実にお応えするためにも、引き続きサービスの充実を図っていきたい。将来的には、新システムを海外拠点向けの業務インフラとしても活用したいと考えています」(佐藤氏)。

日立のプラットフォーム群に対しても、高い期待が寄せられている。実は同行ではEA(*2)に基づいたシステム構築を推進しており、そのことが今回の成功にもつながった。

「Harmonious Computingのコンセプトは、EAやSOA(*3)を実践していくという我々の方向性とピッタリ重なっています。今後も当行のIT標準として活用し、変化への対応を果たしていきたい」と力強く語る根本氏。

先進的な金融サービスの実現に、日立のプラットフォーム群が貢献していくのである。

三菱東京UFJ銀行 外為分散システム概要図

USER PROFILE

●株式会社 三菱東京UFJ銀行 ●本店:東京都千代田区丸の内2-7-1 ●設立:1919年8月25日 ●資本金:9,969億円(単体、2007年3月末現在) ●従業員数:29,844名(単体、2007年3月末現在) ●URL:www.bk.mufg.jp ●東京三菱銀行とUFJ銀行の合併により、2006年1月1日にスタートした新銀行。三菱UFJフィナンシャル・グループの中核銀行として、多彩な金融サービスを提供している。

*1
Trade Information Links and operational synergy
*2
Enterprise Architecture
*3
Service Oriented Architecture

特記事項

  • Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標あるいは商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
  • 本記事に記載された情報は雑誌掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
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