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2020年12月4日
日立ABBパワーグリッド社
STATCOM(静止型無効電力補償装置)と同期調相機を組み合わせた
系統安定化ソリューションにより、カーボンニュートラルの未来に貢献
日立ABBパワーグリッド社(CEO:Claudio Facchin(クラウディオ・ファキン))は、スコットランドの送配電事業者であるSP Energy Networks(エスピー・エナジー・ネットワークス社)と、ストラスクライド大学、デンマーク工科大学と共同で、英国の再生可能エネルギー導入拡大に対応するため、新たな系統安定化ソリューションとして、STATCOM(Static Compensator:静止型無効電力補償装置)と同期調相機を組み合わせた世界初のハイブリッド調相設備*1の1年間の実証運転を、スコットランド・グラスゴー近郊のエスピー・エナジー・ネットワークス社の275kV変電所において開始しました。
今回導入するハイブリッド調相設備は、STATCOMの高速かつ連続で電圧変動を抑えることができる特徴により、再生可能エネルギーの出力変動や細かな需要側の変化に対応しながら電圧を一定に保ちつつ、同期調相機の特徴である慣性力により、系統事故時などにBESS*2や予備発電機などによるバックアップが起動するまでの時間を確保し、系統の安定化に寄与します。
本実証は、ハイブリッド調相設備の技術的・商業的な課題を解決するために、フェニックス・プロジェクトと名付けられて2018年にスタートしたもので、英国の電力・ガス規制機関Ofgem(オフジェム)のOfgem Network Innovation Competition(NIC)の資金提供を受けています。フェニックス・プロジェクトの成果を英国の送配電事業者が活用した場合、6,000軒以上の家庭の電気使用量に相当する6万2,000トン以上の二酸化炭素排出量の累積削減が期待できます。
日立ABBパワーグリッド社グリッドインテグレーションビジネスユニット担当役員であるNiklas Persson(ニクラス・パーソン)は、「発電所には安定したエネルギー供給が求められますが、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー発電システムは、天候の変化に応じて出力が変動します。今回提供する先進的なハイブリッド調相設備は、既存の技術と革新的な制御システムを組み合わせたもので、信頼性の高い安定したエネルギー供給を可能にすると同時に、英国のカーボンニュートラルの未来に向けた取り組みを加速させます。」と述べています。
エスピー・エナジー・ネットワークス社のプロセス・技術担当役員、Colin Taylor(コリン・テイラー)は、「パンデミックの中、フェニックス・プロジェクトを推進できたことを大変誇りに思います。この世界初の革新的なプロジェクトは、本実証の開始により、重要なマイルストーンに到達しました。今回実証を行うハイブリッド調相設備により、電力システムの安定性とレジリエンスのレベルを維持しながら、さらに多くの再生可能エネルギーを電力システムに導入することが可能になります。」と述べています。
今回実証運転を行う革新的なハイブリッド調相設備は、従来の発電システムから再生可能エネルギー発電システムへのスムーズな移行と電力ネットワークへの統合を支援し、英国のカーボンニュートラルの未来に大きく貢献することが期待されています。
モジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC)*3バルブ技術を利用したSTATCOMと、ブラシレス励磁*4システムを備えた4極モーターの同期調相機が並列に動作し、三巻線変圧器*5を介して母線*6に接続されています。
日立ABBパワーグリッド社は、日立とABB社で合わせて約250年の歴史を持つグローバルテクノロジーリーダーであり、90カ国で約36,000人の従業員を擁しています。スイス・チューリッヒに本社を置き、エネルギー、インダストリー、インフラ産業のバリューチェーンに加えて、モビリティ、スマートシティ、蓄電やデータセンターなどの新分野にも事業を展開しています。日立ABBパワーグリッド社は、グローバルトップの導入実績やフットプリントを生かし、お客さまの社会的価値、環境価値、経済価値のバランスを向上させます。また、より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッドを実現するためのパートナーとして、革新的なデジタル技術により"Powering Good for Sustainable Energy"を実現していきます。
以上