ページの本文へ

Hitachi

企業情報ニュースリリース

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。

2020年3月3日

QUICKの企業開示書類の解析業務に日立のAIを適用

有価証券報告書など膨大な開示書類からのデータ抽出を自動化し、
業務の効率化とさらなるサービス強化を実現

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)が開発する人工知能(AI)が、このたび、株式会社QUICK(代表取締役社長:近藤 勝義/以下、QUICK)の企業開示書類の解析業務に採用されました。
  情報配信サービスを手掛けるQUICKは、有価証券報告書など、金融商品取引法に基づき企業に義務付けられるさまざまな開示書類から必要情報を抽出し、最新情報に更新する業務に工数を費やしています。今回、文章の論理的な解析を可能とする日立独自の自然言語処理技術を適用することで、1件100頁に及ぶこともある膨大な開示書類を解読し、必要情報の自動抽出が可能となります。これにより、従来人手で行われていた解析業務の大幅な効率化を図るほか、より鮮度の高い情報配信を可能とし、さらなるサービスの強化を支援します。
  今後、AI適用に向けてシステム化を進め、2020年5月から、投資信託の有価証券届出書*1と株式の有価証券報告書*2を対象に本格的に適用を開始し、その後、債券発行登録追補書類など適用する対象書類を、順次拡大していきます。

  QUICKは、証券・金融機関、個人投資家などに対し幅広く、国内外の市況や社会情勢などのマーケット情報をリアルタイムに配信するサービスを展開しています。これらのサービスで基幹となる企業情報の多くは、国内約3,500社の上場企業を対象に、有価証券届出書や有価証券報告書といった開示書類の記述情報を基にしています。
  毎月1,000件以上もの開示書類を、専任の担当者が目視で確認し、データベースを更新するといった人手による作業を中心としているため、さらなる業務の効率化と高付加価値なサービスの提供に向けて、業務のシステム化を検討してきました。

  これまで、QUICKと日立は、金融庁の政策オープンラボ「有価証券報告書等の審査業務等におけるAI等利用の検討」に関する実証へ共同参画するほか、東京都国分寺市にある日立の中央研究所内に開設した協創の森*3においてアイデアソンやハッカソンを実施するなど、AI適用に向けたいくつかの検証に取り組んできました。これらの取り組みにおいて、日立の自然言語処理技術による高い精度でのデータ抽出を確認できたことから、業務への本格適用を開始することを決定しました。

  今回適用される自然言語処理技術は、大量のテキストデータから文章を論理的に読み解き、企業の経営判断を支援する日立独自の人工知能「ディベート型AI」*4の中核技術です。文章の構文パターンや表の構造から、単語間や事象間の相関関係の特定・抽出が可能なため、開示書類の中から「決算日」や「基準価格」といった約130項目の該当情報を抜き出し、データベースに登録するまでの一連の作業を自動化します。QUICKの開示書類の解析・更新に要する膨大な作業工数の効率化を図り、さらに鮮度の高い情報をタイムリーにマーケットに提供していくことを支援します。
  今後、日立は、本取り組みをLumada*5のユースケースとし、得られた成果をもとに、他の金融機関や幅広い業種にも適用できる新たなAIソリューションの開発に向けて取り組んでいきます。

*1
有価証券届出書:有価証券の募集や売り出しを行う場合などに、その募集または売り出しを行おうとする発行会社が、金融商品取引法に基づき、内閣総理大臣宛てに提出する開示資料。
*2
有価証券報告書:金融商品取引法で規定されている、有価証券発行会社が事業年度ごとに作成する企業内容の開示資料
*3
ニュースリリース(2019年4月11日)"お客さまやパートナーとのオープンな協創により、イノベーションの創出を加速する研究開発拠点「協創の森」を開設"
*4
ニュースリリース(2015年7月22日)"論理的な対話を可能とする人工知能の基礎技術を開発"
ディベート型AIの開発ストーリー
*5
Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称。

AIの特長

  今回適用する日立のAIは、賛否が分かれる議題に対し、大量のテキストデータを解析し、賛成・反対の根拠や理由を提示する「ディベート型AI」のコア技術として開発してきたもので、日本語の文法構造に基づいて単語間の関係性を抽出する「関係抽出技術」と、表構造の自動認識を可能にする「表構造解析技術」で構成されています。たとえば「決算日」に相当する情報を抽出する場合、一般的な検索エンジンでは該当する情報を適切に抽出することは困難ですが、本技術は文章の文法構造や表の構造から目的の情報であるか否かを判定することが可能なため、人間が文章を読み、理解した上で対象データを抽出する業務に適しています。

概要図

[画像]概要図

日立製作所について

  日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2018年度の連結売上収益は9兆4,806億円、2019年3月末時点の連結従業員数は約296,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 金融システム営業統括本部 [担当:高島、松浦]
〒100-8220 東京都千代田区丸の内一丁目6番1号

以上

Adobe Acrobat Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe Acrobat Readerが必要です。