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企業情報ニュースリリース

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2019年4月23日
株式会社日立製作所
日立ABB HVDCテクノロジーズ株式会社

日立が中部電力東清水変電所向け自励式周波数変換装置2基を受注

ABB社のHVDC技術の活用により、東京中部間連系によるエネルギーの安定供給に貢献

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、中部電力株式会社(以下、中部電力)から東清水変電所向け自励式周波数変換装置(30万kW)2基(1号FC*1、3号FC)の納入ならびに設備据付工事・試験など一式(以下、本プロジェクト)を受注しました。
  本プロジェクトは、交流電力を一度、直流に変換することで異なる周波数の系統間の連系を可能にする装置で、自励式高圧直流送電(HVDC*2)技術を用います。今回日立は、ABB Ltd(本社:スイス連邦チューリヒ/以下、ABB社)との戦略的パートナーシップに基づき、ABB社製の制御保護装置を含む交直変換装置と、日立製の変換用変圧器を組合せ、システムを構築していきます。

  2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方および関東地方の電力会社の供給エリアにおいて多くの大規模電源が喪失し、他電力会社エリアからの電力融通量には連系線容量の制約があるため、関東地方の一部地域において計画停電が余儀なくされる事態となりました。こうした事態を受け、電力会社間の電力融通を監督する電力広域的運営推進機関は、エリアを超えた広域的な系統運用を行うための系統連系容量の増強を最重要課題として、60Hzの中部電力エリアと50Hzの東京電力パワーグリッド(以下、東京電力)エリアの連系容量を、現在の120万kWから300万kWへ増強するプロジェクトを進めています。その一環として中部電力では、東清水変電所の連系容量を30万kWから90万kWへ増強する重要なプロジェクトを推進しており、2027年度の運転開始を予定しています。

  本プロジェクトでは、系統連系の運転上の制約が少なく、片系統の電力喪失時でもブラックスタート*3が可能である自励式HVDC技術が採用されます。自励式HVDC技術は、これまで多く用いられてきた他励式HVDC技術と比べ、系統の有効電力と無効電力を別々に制御できることから調相設備*4などの周辺装置の小規模化や設置面積の削減などが可能となり、電力系統の安定化にも 効果が期待できる新しい技術です。

  日立は、これまで国内で設置されたほとんどのHVDCプロジェクト*5において、技術開発やプロジェクトの取り纏めを担当し、国内の高い電力品質の維持や世界トップクラスの高稼働率*6を維持してきたHVDCに貢献してきました。また日立は、現在構築中である東京中部間連系の東京電力新信濃変電所と中部電力飛騨変換所を結ぶ飛騨信濃直流幹線プロジェクトにおいても、飛騨変換所向けの他励式HVDCシステムを受注しており、ABB社製の調相設備を一部活用し、システム構築を進めています。

  本プロジェクトでは、国内向けHVDC事業において日立とABB社が設立した日立ABB HVDCテクノロジーズ株式会社(代表取締役会長兼CEO: 西岡淳)を介して、世界の直流送電系統の約半数を占める約120件、130,000MW相当のプロジェクトで実績のあるABB社のグローバルNo.1のHVDC技術を導入し、さらに日立のパワーグリッド事業において培ってきた技術やノウハウ、プロジェクトマネジメントでの知見を結集することで、世界最高水準の自励式HVDC技術を用いた周波数変換装置を納入します。

  日立は、2020年前半をめどに、ABB社から分社されるパワーグリッド事業会社に80.1%の出資を行い、同社を連結会社化する予定であり、HVDCを主力事業の一つと位置づけています。日立は、今後日本で予想される系統連系強化や再エネ増加に伴う系統連系設備のニーズに対応し、国内外での系統連系強化に貢献していきます。

*1
FC: Frequency Converter
*2
HVDC: High Voltage Direct Current / HVDCとは主に二つの電力系統間で送電するための技術。送電側の電力を、交流から直流に変換した上で送電し、受電側の系統では交流に戻して電力を使用する。電気的な損失や設置面積、建設コストを低くすることができるため、長距離送電の用途に最適で、周波数が異なり直接交流で接続できない系統間の連系などにも適している。
*3
ブラックスタート: 停電時での立ち上げ。
*4
調相設備: 電圧調整と電圧損失を軽減するための設備。
*5
FCを含む。
*6
CIGRE(国際大電力システム会議) 「A Survey of the Reliability of HVDC Systems」などにより報告されている。

以上

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