ニュースリリース

原子力発電所の空調設備向け空冷式冷凍機ユニットを開発

原子力発電所に求められる耐震性と信頼性を向上

空冷式冷凍機ユニット

  日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長:久米 正／以下、日立GE)と株式会社 日立プラントコンストラクション(取締役社長:赤穂 敏之／以下、日立プラントコンストラクション)は、このたび、原子力発電所の重要機器機械室や電気品室などで用いられる空調設備用冷凍機として、安全重要設備に求められる耐震性と大規模自然災害などによるシビアアクシデントを考慮し、信頼性の向上を兼ね備えた、空冷式冷凍機ユニットを開発しました。
  本空冷式冷凍機ユニットは、従来の標準構造に独自の補強を施し強度が向上しており、原子力発電所に必要な耐震性を有しています。また、水冷式冷凍機に比べ冷却水設備などが不要なシンプルな構造で、独立性を向上しています。これにより、自然災害や火災・内部溢水・停電時の信頼性向上を図ることができます。さらに、一般車両に搭載する可搬型の仕様にも対応可能で、原子力発電所用の空調設備の機器構成の選択肢が大きく広がります。

  福島第一原子力発電所の事故の教訓や国内外からの指摘を踏まえて、原子力規制委員会が策定した新規制基準では、大規模な自然災害や火災・内部溢水・停電などへの対応強化、指揮所などの支援機能の確保、原子炉建屋・設備が破損した場合への対応などが求められています。また、原子力発電所や原子力関連施設、重大事故等対処施設においては、その機能維持を担う空調設備にも高い耐震性と信頼性が求められています。

  今回開発した空冷式冷凍機ユニットは、こうしたニーズに応えるため、冷凍機の構造シミュレーション解析結果をもとに、必要な耐震補強構造を設計し、冷凍機の内外部に独自の耐震補強を行いました。実機検証では、耐震評価、補強、加振試験を実施し、耐震強度および健全性を確認しました。また、制御機能に使用されているデジタル基板についても、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が定める規格「産業用情報処理・制御機器設置環境基準」におけるClass Sレベルの耐ノイズ試験や温湿度サイクル試験、電圧・周波数変動試験を実施し、それぞれ原子力発電所に適用可能な耐震性、信頼性のある電気品対応であることを確認しています。

  日立GEと日立プラントコンストラクションでは、今後、電力会社の原子力発電所や原子力関連施設、重大事故等対処施設におけるさまざまなニーズに合わせて、水冷式冷凍機に加えて本空冷式冷凍機を提案し、原子力発電所のさらなる信頼性向上に貢献していきます。

空冷式冷凍機ユニットの開発内容

1. シンプルで信頼性の高い空冷式冷凍機

  冷水冷却時に蒸発した冷媒を空気で凝縮させるため、冷却水設備が不要で部品点数も少なくなり、汎用機を使用したことでメンテナンス性の向上を図りました。また、一般車両に搭載できる可搬型の仕様にも対応することができます。
  なお、本空冷式冷凍機の制御に使用するデジタル基板は、JEITA IT-1004*1の規格基準による検証試験に加え、加振試験も行い、高い信頼性を有していることを確認しました。

*1

JEITA IT-1004: 一般社団法人電子情報技術産業協会規格 産業用情報処理・制御機器設置環境基準 原子力をはじめ公共性の高い分野のオンライン、リアルタイム処理に使用する情報処理機器の環境条件の規格

2. 耐震性の向上

  原子力発電所の安全重要設備に必要な耐震性を実現するため、冷凍機の構造シミュレーション解析結果をもとに、必要な補強構造を設計し、冷凍機の内外部に独自の耐震補強を実施しました。空冷式冷凍機ユニットの実機を用いた振動台による実証試験を行い耐震強度を確認し、その後の実負荷運転で機能の信頼性についても確認しました。

空冷式冷凍機ユニットの仕様(最大容量、サイズ)^*2

*2

本仕様は開発で使用した冷凍機の仕様ですが、本仕様以外の容量にも対応可能です。

空冷式冷凍機ユニットの特長

• 原子力施設の安全重要設備に対応できる高い耐震性、信頼性を有しています。
• 冷却水設備が不要なため、水冷式冷凍機に比べ、設備規模を縮小できます。
• 空冷式冷凍機は汎用機をベースとするため、水冷式に比べ製作納期を短縮できます。
• 汎用機を使用するため、故障時などの部品供給が速やかに対応できます。
• ユニットとして製作するため、一般車両に搭載できる可搬型にも対応できます。

お問い合わせ先

日立GEニュークリア・エナジー株式会社 原子力営業本部 [担当:栗原、斎藤]
〒101-8608 東京都千代田区外神田一丁目18番13号
電話 03-4564-5895(部代表)

以上