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2017年3月16日
シェアリングエコノミーの実現に向けた「日独IoT連携」共同プロジェクトのユースケースに登録
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原敏昭/以下、日立)は、フラウンホーファ研究機構製造技術・自動化研究所(ドイツ/以下、フラウンホーファ研究所)およびハンガリー科学アカデミー計算機自動化研究所(ハンガリー/以下、ハンガリー科学アカデミー)との共同研究により、数量や加工条件などの重要情報を秘匿し、企業間でのセキュアな生産設備融通を可能にする技術を開発しました。本成果は、日本の経済産業省とドイツの経済エネルギー省が、製造業におけるIoT*1化やIndustrie4.0*2の協力を推進する「日独IoT連携」共同プロジェクトのユースケースに登録されました。
本ユースケースは、2017年3月16日、17日にドイツ・ベルリンで開催される「Digitising Manufacturing in the G20」および、2017年3月20日から24日にかけてドイツ・ハノーバーで開催される国際情報通信技術見本市「CeBIT」において、ロボット革命イニシアティブ協議会*3から日独連携の成果として紹介される予定です。
近年、eコマースの普及にともない、短期間で顧客ニーズが大きく変化するマスカスタマイゼーション*4が進展しており、製造業では多様化する顧客ニーズに応じて製品をタイムリーに生産することが求められています。従来、製造業においては、ピーク需要に合わせて各企業が自前で生産設備を確保することが一般的でしたが、設備稼働率やROA*5の低下が課題となっていました。この課題は、工場の生産設備をインターネットで結び、自動で管理することで生産性や効率性を高めようとする第4次産業革命においても提起されており、世界各国がその解決に取り組んでいます。
2015年3月の日独首脳会議において、日本・ドイツ両政府は、製造業におけるIoT活用やIndustrie4.0に関する協力を進めることで合意しました。また、2016年4月には、経済産業省とドイツ・経済エネルギー省は共同声明を発表し、国際標準化や産業セキュリティ、研究開発等の項目について国家間で連携を進めることとしました。
これに先立ち日立は、2014年9月よりIEC*6 Market Strategy Board ”Factory of the future*7”プロジェクトに参画し、シェアリングエコノミー*8のコンセプトを活用した新しい生産システム「クラウドマニュファクチャリング」を提案しました。クラウドマニュファクチャリングは、生産設備の利用権を必要な時に必要な時間だけ企業間で融通しあうことで、多様な顧客ニーズへの対応と高稼働率な生産体制の両立が可能になります。本生産システムは、2015年10月発刊のIEC白書において、「Crowdsourcing Platform(クラウドソーシング・プラットフォーム)」として採択されました。
今回、日立は、クラウドマニュファクチャリングの実現性を検証するため、フラウンホーファ研究所およびハンガリー科学アカデミーと共同研究を実施し、生産に必要な数量や加工条件などの重要情報を暗号化し、生産管理システムと複数の企業の生産設備をセキュアに接続する技術を開発しました。具体的には、設備貸与者と利用者の間での設備利用契約や生産計画に基づき、秘匿すべき重要情報を決定し、利用者が暗号化を行います。暗号化された重要な情報は、その他の生産に必要な情報とともに一時的に接続された貸与設備に送信され、生産を行います。生産終了後には、これらの情報は無効化されます。本技術により、設備利用者の重要情報が秘匿されながら、設備利用者はあたかも自社の生産設備のように使用することができ、企業間でのセキュアな生産設備融通が可能となります。
また、本技術をIoT対応産業用コントローラ*9に搭載し、製造ラインを模したテストベッド環境において生産管理システムと生産設備の相互接続テストを行うことで、クラウドマニュファクチャリングの実現性を確認しました。
今後、日立は、クラウドマニュファクチャリングの実現に向けて、日独連携の枠組みのもと、研究開発を推進していきます。
株式会社日立製作所
研究開発グループ 技術統括センタ [担当:阿部、藤原]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
電話 : 050-3135-3409 (直通)
以上