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2015年9月15日
M.D.アンダーソンに続く米国で2台目の納入実績
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、米国で著名な大手総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)のミネソタ州ロチェスターの病院向けに開発した新型の陽子線がん治療システム「PROBEAT-V」で、米国FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬局)から販売許可を取得し、納入しました。6月下旬より本システムでの治療が開始され、8月に最初の患者の治療が完了しました。
「PROBEAT-V」は、複数の治療室全てに日立のスポットスキャニング照射技術を適用した世界初の陽子線がん治療システムで、治療室の開放性を高める190度回転ガントリや、照射精度を向上させる最小のスポットサイズ*1などの特長を持った最新システムです。
なお、同病院のアリゾナキャンパス(アリゾナ州フェニックス)においても同様の施設を導入中であり、2016年春の治療開始を予定しています。
メイヨー・クリニックは、米国大手の総合病院であり、全米50州、世界143か国から患者を受け入れており、年間130万人以上の患者を治療しています。診療と医療に加えて、教育・研究も総合的に行う米国でもトップクラスの医療体制を整えた医療機関であり、アメリカの歴代大統領や国内外の要人が治療を受けたことで知られています。「全米の優れた病院」ランキング*2では、長年にわたり全米で最も優れた病院のひとつとして高く評価されています。
今回、メイヨー・クリニックに納入した新型陽子線がん治療システム「PROBEAT-V」の特長は以下のとおりです。
360度回転する従来のガントリでは、円筒形の照射スペースに患者が入っていくのに対し、190度回転ガントリは半円型で解放感があることから、患者の心理的負担をさらに低減できます。なお、治療台を回転させることで、360度ガントリと同じ照射角度を確保しています。
従来の照射ノズル設計を見直すことで、スポット径を当社従来比約70%に縮小し、最も小さいスポットサイズを実現しました。スポット径が小さくなることで、がんの形状に対してより細く精度の高い照射が可能となります。
ビームマッチングとは、異なる治療室でも同じビームを再現することができる技術です。ビームマッチング技術により、治療室ごとのビーム特性のバラつきを5 %以内に抑えることができます。これにより、いずれの治療室でも常に高い品質での治療が可能になります。
粒子線治療は1回の治療に数十分程度かかりますが、実際に照射が行われている時間は数分であり、大半は患者の固定と位置合わせといった準備作業が行われています。メイヨー・クリニックでは、治療前に患者の固定と位置合わせを行う専用のセットアップ室を設けることで、作業時間の短縮に加え、より多くの時間を照射に割くことが可能になります。
メイヨー・クリニックとの共同開発で、ユーザインターフェースを刷新しました。開発にあたっては、医学物理士や実際に装置を操作する放射線技師の意見を取り入れることで、操作性を高めたユーザインターフェースを実現しました。
近年、副作用の少ないがん治療法の一つとして、世界中の病院や治療センターで陽子線がん治療に対する関心がますます高まっています。日立は、今後もヘルスケアビジネスの主力事業の一つである陽子線がん治療システムのグローバル展開を通じて、世界のがん治療に貢献していきます。
陽子線がん治療は、放射線によるがん治療法のひとつであり、水素の原子核である陽子を加速器で光の70%のスピードに加速させ、がん細胞に集中して照射することでがんを治療するものです。治療に伴う痛みがほとんどなく、身体の機能と形態を損なわないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(Quality Of Life)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法の一つとして注目されています。
スポットスキャニング照射技術とは、がんに照射する陽子線のビームを従来の二重散乱体方式*3のように拡散させるのではなく、細い状態のまま用い、照射と一時停止を高速で繰り返しながら順次位置を変えて陽子線を照射する技術です。複雑な形状をしたがんでも、その形状に合わせて、高い精度で陽子線を照射することができ、正常部位への影響を最小限に抑えることが可能です。さらに、患者ごとに準備が必要であった装置(コリメーター*4、ボーラス*5が不要、また、陽子ビームの利用効率が高く不要な放射線の発生が少ないなど、患者に優しく、病院スタッフの負担を軽減でき、さらに、廃棄物の発生量の低減が可能であるという特長を備えています。
株式会社日立製作所 ヘルスケア社粒子線治療事業部 粒子線治療ソリューション部
【担当:伊丹、藤崎】
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電話 : 03-4564-3565 (直通)
以上