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2015年5月21日
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、香港の地下鉄システム向けに、鉄道事業者である香港鐡路有限公司(MTR Corporation Limited/以下、MTR社)から、日立子会社である日立遠東有限公司(総経理:中江 隆比古)を通じて、蓄電池式回生電力貯蔵装置(以下、B-CHOPシステム)2台を受注しました。受注したB-CHOPシステムは2015年11月までに納入され、2016年2月以降に運用が開始される予定です。リチウムイオン電池を適用した回生電力貯蔵装置が香港の鉄道輸送システムに導入されるのは今回が初めてです。
現在、MTR社は、省エネ対策の一環として鉄道輸送システム全体の使用電力削減、電力効率向上の実用化に向け、車上、地上の両面でシステムの導入を検討しています。
今回、日立が提供するB-CHOPシステムは既存の2路線に導入されます。導入される路線は香港、九龍(カウルーン)両市街からランタオ島沖の香港国際空港を結ぶ全長約35kmの機場快線(Airport Express Line)と中環(セントラル)駅から新界地区南部の荃湾(チェンワン)駅までを結ぶ全長約16kmの荃湾線(Tsuen Wan Line)です。
各路線にある変電所の内の1箇所ずつにB-CHOPシステムを設置し、1年間の省エネルギー効果検証を経て、将来的には香港の地下鉄全路線にB-CHOPシステムが導入される計画です。
B-CHOPシステムは、電車が停止する際や減速する際に生み出される回生電力を鉄道の変電所に設置された蓄電池に一時的に貯蔵し、電車の走行時に必要とされる電力として再利用することで、鉄道運行に必要な総電力量を削減するシステムです。蓄電池は、主に自動車用リチウムイオン電池の開発・製造を行う日立ビークルエナジー株式会社(取締役社長:勝田善春)製の車載用リチウムイオン電池を使用します。
日立は、リチウムイオン電池を適用した回生電力貯蔵装置で多数の納入実績を有し、高い評価を受けています。日立のB-CHOPシステムは、電池の持続力を示すエネルギー密度とパワーを示す出力密度がともに高く、キャパシタ式の貯蔵装置と比較し、貯蔵容量が大きいことが特長です。車両からの回生電力を効果的に貯蔵し、使用電力量を削減することで、システム導入前と比べ、最大で約10%の電力削減効果が得られているサイトもあります。
また、車両の機械ブレーキの使用頻度を下げ、ブレーキパッドの摩耗を低減できるため、車両保守費用の低減にもつながります。
日立は今後も、鉄道変電所向け環境製品であるB-CHOPシステムなどの最新技術を基に、香港の鉄道インフラのさらなる発展および省エネ化に貢献していきます。また、日立は今回の香港での実績を生かし、環境にやさしい鉄道システムを地下鉄やモノレールなどの新交通システムの導入が進んでいる東南アジア地域などに拡販し、さらなるグローバル展開を加速していきます。
以上