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Hitachi

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2011年9月30日

実空間に立体映像を重ねて表示する立体映像表示技術を開発

眼鏡なしで複数の人が同時に鑑賞可能

  株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明、以下 日立)は、実空間に立体映像を表示し、複数の人が眼鏡なしで実際の物体と立体映像を重ねて鑑賞することができる “立体映像表示技術”を開発しました。本技術は、24台のプロジェクタによる映像情報を、複数枚を組み合わせたレンズとハーフミラーを用いて実空間に立体表示する技術です。実際の物体と立体映像を重ねて表示でき、かつ、眼鏡を使用することなく、複数の人が同時に見ることができるので、大勢の人が行き来する場所に設置される電子看板(デジタルサイネージ)に適用することでより迫力のある立体映像を表示したり、さまざまなデザイン検証の低コスト化や、製造業や医療などにおける技能訓練など、広範囲な分野への活用が期待できます。

  立体映像は、テレビやゲーム機などのコンシューマ分野において、ディスプレイ上に表示する技術が普及し始めています。しかし現状では、立体映像を表示するのは主にディスプレイ上であり、また、表示する場合でも専用の眼鏡が必要であったり、視野が限られているために複数の人が同時に鑑賞できないなどの制約があります。一方、最近では、立体映像はより臨場感のある表現ができるといった魅力があることから、デザインや広告業界から、立体映像技術を活用してより人々の関心を引く魅力的なコンテンツを作成したいという声が広がってきています。日立では、こうしたニーズに応えるべく、より自然で実際の物体に近い映像表現をめざし、組み合わせた複数枚のレンズと半透明のハーフミラーを用いて、24台のプロジェクタで撮影した映像情報を実空間に表示することを可能にしました。さらに、実際の物体と立体映像を重ねて表示できるようにしました。本技術は、24台のプロジェクタを用い、組み合わせた複数枚のレンズによって自然な映像をディスプレイ上に表示するフルパララックス3Dディスプレイ技術*1を応用したものです。開発技術は、以下の通りです。

(1)広い範囲から閲覧できる高解像度の立体映像を実現

  組み合わせた複数枚のレンズと半透明のハーフミラーを用いて、24台のプロジェクタによる映像情報を水平60度、垂直30度の広い視野で閲覧が可能な立体映像を実空間に表示しました。ハーフミラーを介して立体映像を表示し、実際の物体の位置に合わせて合成表示します。奥行き解像度を1.6倍*2に向上させたことにより、自然な立体映像表現ができます。(図1)

[図1]システム構成図

(2)実際の物体と立体映像を重ねた表示を実現

  実際の物体の位置にあわせて立体映像を表示することができます。物体を移動すると、カメラセンサーによって物体の位置と角度を認識して、それに合わせて立体映像も自動的に位置と角度を変更し、物体と重ねて表示することができます。(図2)(図3)

[図2]物体と立体映像を重ねたようす [図3]物体の位置と角度に合わせて立体映像が変化するようす

  開発技術を応用することでより人々の関心を引く魅力的なコンテンツを作成したいというニーズにお応えし、商品ディスプレイやデジタルサイネージ、エンターテインメントなどにおいて、直観的な説明や効果的な演出を行うことができます。また、実物と立体映像を多人数で同時に見ることができるため、医療や製品デザイン、作業訓練などにおけるさまざまな共同作業が可能になります。
  なお、本技術は、10月4日から8日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC JAPAN 2011」の日立ブースに出展します。本技術の一部は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究「革新的な三次元映像技術による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」の成果によるものです。CEATECで提示するコンテンツの一部には、この委託研究を共同で受託しているNHK放送技術研究所より提供されたデータを利用します。

*1
フルパララックス3Dディスプレイ : フルパララックスとは、視差(パララックス)が上下左右斜め含めた全ての方向にあることを意味します。視差とは目の位置により物や映像の見え方が異なることを意味します。人が3D映像を認識するには視差が重要な要素であり、広い範囲で自然な3D映像を見るためにはフルパララックスが必要です。フルパララックス3Dディスプレイは、フルパララックスを満たす3Dディスプレイのことです。
*2
「CEATEC JAPAN 2010」日立ブースに出展した「フルパララックス3Dディスプレイ」技術と本技術との比較。

照会先

株式会社日立製作所 横浜研究所 企画室 [担当:塚越]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
TEL : 045-860-3092(直通)

以上

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