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2010年12月6日
使用済み製品からレアアース磁石を分離・回収する装置を開発するとともに、
乾式手法によりレアアース磁石からレアアースを抽出
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、ハードディスクドライブ(HDD)のモーターやエアコン*1などのコンプレッサーから、レアアース*2磁石をリサイクルする技術を開発しました。具体的には、使用済み製品からレアアース磁石を分離・回収する装置を開発するとともに、乾式手法による実験で、レアアース磁石からのレアアース抽出に成功したものです。日立は今後、リサイクル全体のコストや回収率の試算などを経て、2013年をめどにリサイクルの本格稼動をめざします。
手作業でHDDからレアアース磁石を分離・回収する場合、作業者1人につき1台あたり約5分を要します(1人あたり約12台/時間)。これに対し、今回開発した装置では、約8倍(約100台/時間)の効率で分離・回収できることを確認しました。コンプレッサーについては、従来、分解が困難でしたが、新たに切断装置や脱磁装置などを開発し、高効率で安全な分離・回収を可能にしました。
分離・回収したレアアース磁石からレアアースを抽出する過程は、従来の抽出手法では酸などの化学薬品を用いるため、廃液処理が必要で、コストや環境保全の面で課題がありました。今回新たに、レアアースと親和性の高い特定の抽出媒体による乾式手法でレアアースを抽出しました。抽出にかかるコストや環境負荷の低減に寄与する乾式抽出手法の確立に向け、今後も研究を推進していきます。
レアアース磁石とは、通常よりも強い磁力を持たせるため磁石にネオジムを加えるほか、耐熱性能向上のためにはジスプロシウムを添加するもので、鉄を約3分の2、レアアースを約3分の1含む合金です。パソコンなどのハードディスクドライブやIT機器、FA(Factory Automation)用高性能モーターのほか、風力発電機、省エネルギー性能に優れたエアコンなどの家電製品、ハイブリッド自動車の駆動用モーターなど、低炭素社会を実現する製品に欠かせない材料となっています。一方、レアアースの産出量は中国が約97%*3を占め、代替材料の開発にも時間を要することから、安定調達のためには、使用済み製品に搭載されるレアアース磁石からレアアースをリサイクルすることが期待されています。
しかし、製品から安全にレアアース磁石を分離・回収するためには手間がかかるだけでなく、レアアースを抽出する過程では、化学薬品を使用するため廃液処理が必要で、コストと環境保全の面で課題がありました。
このような背景から、日立は、高効率で安全性と環境保全にも配慮したレアアースのリサイクル技術の開発を推進してきました。
本事業は、経済産業省の「平成21年度新資源循環推進事業費補助金(都市資源循環推進事業-高性能磁石モータ等からのレアアースリサイクル技術開発)」に選定されたもので、2009年10月より開発を開始しました。開発にあたっては、社外諮問機関を設け、独立行政法人物質・材料研究機構の原田幸明 元素戦略センター長ら、有識者の指導を受けながら取り組みました。開発した技術の詳細は以下のとおりです。
日立グループは「地球温暖化の防止」「資源の循環的な利用」「生態系の保全」を柱とする「環境ビジョン」に基づき、環境保全に資する製品・サービスの提供と環境負荷の低減に努める事業活動を推進しています。レアアースのリサイクル技術開発も、「資源の循環的な利用」の一環として推進しているものです。
株式会社日立製作所 新事業開発本部 資源循環推進室 [馬場、根本、弘重]
〒100-8280 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話 : 03-3258-1111 (大代表)
以上