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2009年8月26日
株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)は、このたび、厚さ3ミリメートルの薄型指静脈認証モジュールを開発しました。指静脈認証は、日立が2000年に基本技術を確立した、指に近赤外光を透過させて指の静脈パターンを観察・認証する生体認証技術です。今回、指静脈パターンの撮影用センサとして、新たに薄型非接触フラットセンサを開発し、指静脈認証モジュールの大幅な薄型化を可能にしました。さらに、太陽光などの外光がセンサに当たっても、指静脈パターンの観察への影響を軽減する信号処理技術を開発し、実用化に向けた利便性を高めました。本開発により、指静脈認証を、これまでスペースの制約から搭載が難しかったモバイル機器、自動車、住宅などのさまざまな分野のセキュリティに幅広く応用することが可能になります。
急速な情報化社会の進展により、企業や自治体などで、個人データや機密に対する管理意識が高まっています。これにともない、指紋、虹彩、顔、静脈など、「個人固有の特徴」を用いる生体認証が、より確度の高い個人認証手段として注目されています。これまで日立では、偽造などの脅威に強いという特長を持つ、指の静脈パターンを利用した指静脈認証技術を開発し、ATMなど金融機関での利用をはじめ、入退室管理、PCへのログインなどの幅広い分野で実用化してきました。
今回、日立は、指静脈認証技術のさらなる利用拡大に向け、モバイル機器、自動車、住宅などのスペースに制約があるさまざまな分野にも搭載可能な、厚さ3ミリメートルの薄型指静脈認証モジュールを開発しました。今回開発した薄型指静脈認証モジュールの特長は、以下の通りです。
今回、近赤外光に高い感度を持ち、指静脈パターンを非接触撮影することができるフラットセンサを新たに開発しました。従来は、近赤外光を照射して得られる指静脈パターンを、一枚のレンズを用いて撮影するカメラ方式のため、レンズの厚みとともにレンズと指の間の距離が必要であり、指静脈認証モジュールの薄型化には限界がありました。今回開発した薄型非接触フラットセンサは、センサの各画素ごとに焦点距離の短い極小レンズを配置する方式のため、指とセンサの間の距離が短くても、焦点の合った鮮明な静脈パターンを撮影することができます。これによって、指静脈認証モジュールの薄型化が実現します。
フラットセンサの感度と撮影用光源の明るさを、周囲の光の向きや強さに応じてきめ細かく制御する信号処理技術を開発し、外光の影響を受けにくい認証を実現しました。また、撮影時に、センサの受光部全体を指で覆い隠す形で認証を行うことができる狭エリア静脈パターン画像処理技術を開発し、撮影エリアへの外光の侵入を減少させました。
今回開発した技術を用いて、厚さが3ミリメートルの指静脈認証モジュールを開発し、本モジュールと撮影データと登録データの照合を行なう外付けの認証処理部から構成される薄型指静脈認証装置を試作した結果、非接触の個人認証が行なえることを確認しました。
今後も日立は、社会イノベーション事業を支えるセキュリティ技術として、指静脈認証装置を幅広い分野に応用していきます。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下、工藤]
〒185-8601東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (直通)
以上