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Hitachi

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2008年2月1日

複数のネットワークカメラで撮影した
映像から重要度の高い映像を選別して表示し、
あわせてデータベースの中の類似画像を瞬時に検索できる技術を開発

数百台のカメラを用いた次世代のネットワーク型大規模監視システムの基本技術を開発

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、放送通信融合時代のネットワーク型大規模監視システムの効率的な運用を実現する技術として、このたび、映像監視向けプラットフォーム技術を開発しました。本技術は、ネットワークに接続した数百台のカメラで撮影した映像の中から、人の顔や動きの有無などの情報を基に、変化が起きている映像など、監視業務を行う上で重要度の高い映像を、高画質かつ他のカメラの映像よりも優先的に伝送し、警備室の監視者用モニタ画面などに拡大表示するとともに、過去に撮影した映像データベースの中から類似画像を瞬時に検索することを可能にするものです。これにより、大規模な遠隔監視システムで課題となる、伝送容量の不足とデータ圧縮に伴う映像の劣化を解決するとともに、注視すべき映像を容易に判別でき、かつ類似画像のデータベース検索も簡単にできることから、監視業務従事者の負担を大幅に低減することが可能となります。
  放送通信融合時代には、サーバから複数のネットワーク端末にデータを送信するブロードキャストとともに、多数の端末側のデータをセンタ側に集約して利用することが可能になり、集められた大量のデータから、意味のある情報を抽出し、付加価値をつけて利用者に提供することができる新たな情報システムが、次のITビジネスを生み出すものと、日立は考えています。本技術は、このような放送通信融合時代の大規模映像監視プラットフォームを実現する基本技術です。

  近年、セキュリティ強化の必要性が急速に高まっており、銀行やコンビニエンスストア、駅、空港などでは、大規模な映像監視システムの導入が進んでいます。また、ネットワーク技術の進歩と記録装置の大容量化により、数百台程度のカメラを接続した遠隔監視システムの構築が進められています。今後も、安全・安心な社会を実現する技術へのニーズの高まりと、カメラや記録装置のさらなる普及から、映像監視システムの大規模化がさらに進むもの予測されています。
  ネットワーク接続型の遠隔監視システムは、カメラにIPアドレスを割り当てれば、数百台規模のカメラネットワークを構築することができ、また、原理的には、カメラの数だけの映像を収集・記録することが可能です。しかし、多数のカメラから送られてくる映像データの伝送と表示における負荷や、膨大な蓄積データを検索する際の制限などから、現在は、モニタ画面には、あらかじめ指定したカメラの映像を表示させたり、ランダムに表示させたりしているほか、データベースを検索する際には、多大なコストをかけて蓄積データから必要な情報を収集し解析する方法が取られています。
  このような背景から、数百台のネットワークカメラを用いる大規模監視においても、通信インフラを効率的に活用することによって、必要な映像を高画質でかつ複数表示させることが可能で、かつ蓄積された膨大な映像データベースを高速で検索できる次世代の映像監視プラットフォームの開発が期待されていました。

  今回、日立は、ネットワーク上に接続された複数のカメラで撮影した映像を一元管理し、大規模な遠隔監視システムの効率的な運用を可能とする、映像監視向けプラットフォーム技術を開発しました。
  開発した技術の概要は、以下の通りです。

1. 撮影映像の重要度に応じ、伝送時の優先度や表示サイズを制御する機能
カメラでの撮影映像について、人の動きや顔の有無など、監視を行う上での重要度を、画像認識技術を用いて一台ずつ算出します。算出した重要度に基づいて伝送の優先度を決定し、優先度の高い映像は通常より高い映像品質かつ優先的にカメラから伝送して、サーバへ蓄積します。さらに、監視者用モニタ画面には、重要度の高い映像を拡大表示し、注視が必要な映像を優先的に表示します。
2. カメラでの撮影映像をもとに、データベース上の類似画像を検索する技術
類似画像検索は、カメラから伝送された映像と「見た目が似ている」画像をデータベースから探し出す技術です。類似画像の検索は、画像の色の分布や形状等、画像自体が持つ情報を自動的に抽出し、高次元の数値情報として表現した、「画像特徴量」に基づいて行います。映像データの画像特徴量を逐次類似画像検索エンジンの画像データベースに自動登録することで、任意の画像を基にした類似検索が可能となり、カメラ映像のリアルタイム表示とデータベース上の蓄積映像の検索が、瞬時にかつ同時に行うことが可能となりました。
3. センサ端末により映像の優先度を補完する技術
VIPなど警護が必要な人につけた名札型センサ端末と、カメラの近くに設置した赤外線発信機を組み合わせることで、警護対象人物のリアルタイムでの位置検知と、カメラ映像との連携を実現しました。これにより、例えば、名札型センサ端末を所持した警護対象人物が赤外線発信機に近づいた場合、その赤外線発信器に一番近いカメラの映像が最優先で表示されるよう、カメラ映像の伝送を制御します。そのため、警護対象人物の周辺の映像を重要度の高い映像として判断し、他のカメラの映像より優先して、監視者用モニタ画面に表示することが可能となります。

  今回、100台のカメラ、画像処理用PC、10台の名札型センサ端末、映像蓄積装置および検索用PCを組み合わせた大規模監視の実験システムを構築し、開発技術を用いた映像監視の実証実験を実施しました。この結果、本開発技術を用いていない場合と比べ、100台のカメラの前で人物が撮影される条件では、ネットワーク容量を約1/3に、また、通常の利用環境下においては、ネットワーク容量を約1/10に削減できることを確認するとともに、類似画像検索や名札型センサ端末による特定の人物の優先表示が可能なことを確認しました。

  今回開発したカメラ映像監視技術を用いることによって、顧客の要望に応じたカメラ台数、通信インフラ、映像品質に対応して、最適なシステム提案が可能となります。また、本技術を大規模店舗などの監視システムに応用した場合、監視用途に加え、蓄積された映像データを解析することで、顧客がどのポイントに多数立ち寄ったかなど、販売戦略に有効な情報抽出が可能になると考えられます。今後、実証実験を重ねることで、実用化に向けた課題を研究するとともに、技術の適用範囲の拡大に取り組む予定です。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (直通)

以上

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