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2004年6月16日
 

携帯機器向けマイクロ燃料電池の国際標準化に着手

6月30日に横浜で開催される標準化国際会議IECの作業部会で検討開始
 
 
 
  国際標準規格化を推進するIECのTC105専門委員会*1における、パソコン、デジタルカメラ、携帯情報機器向けマイクロ燃料電池の作業部会では、「性能」作業部会を新設し、その議長ポジションを日本が獲得する予定となっています。今回、日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦、以下:日立)が本作業部会の議長を担当し、国際標準化を推進する予定です。本作業部会を加えた国際標準化に関するIEC/TC105国際会議は、IECが主催、日本工業標準調査会(JISC)の指定団体である社団法人日本電機工業会(以下:JEMA)が幹事となり、6月30日から7月1日に横浜で開催される予定です。
 
  近年、携帯情報機器向け直接メタノール型燃料電池*2の実用化を目指した開発が、世界各国で進められており、あわせて国際標準化の動きが活発に進められています。我が国ではJEMA内に設置された燃料電池総合委員会がTC105国内審議委員会として対応しており、この委員会の下に、経済産業省が委託した携帯機器用マイクロ燃料電池の標準化調査研究の標準化委員会が組み込まれ、我が国からの国際規格提案などについて検討を行なっています。これまで、燃料電池の国際標準化はIECのTC105専門委員会で進められており、携帯情報機器向けの燃料電池については、その中のポータブル型燃料電池作業部会で議論されてきました。しかしながら、昨年6月のIEC/TC105サンディエゴ国際会議全体会議において、出力や応用対象を考慮して、携帯情報機器向けの燃料電池に絞った作業部会を設置する必要性が、日本を中心に提案、議論され、その設置が認められました。
 
  これを受けて、今回、6月30日から7月1日にIEC/TC105横浜会議で従来の携帯機器向けマイクロ燃料電池の国際標準化における作業部会「安全」*3、「性能」が開催される予定です。このうち「性能」作業部会の国際議長は、日立の研究開発本部主管技師長の横山 宏が候補として国際投票中であり、6月18日に承認され、第1回の作業部会が横浜で開催される予定です。
 
  直接メタノール型燃料電池は、これまでのリチウムイオン電池に比べ、長時間の使用が可能となる上、燃料であるメタノールを注ぎ足すことにより、端末・機器を継続して使用できるなどの点で注目を集めています。こうした次世代のエネルギー供給源として期待されている燃料電池分野は経済産業省の新産業創造戦略の中で、経済活性化に向けた重点施策のひとつに位置づけられている分野であり、その中でも国際規格作成については日本のリーダシップの発揮が一層期待されています。今回、初の携帯機器向けマイクロ燃料電池の国際標準化に関する国際会議を日本で開催し、その核となる「性能」の分野で議長を日立が務めることは、日本の産業競争力の向上に貢献するものと言えます。
 
 

用語説明

 
 
*1 IECのTC105専門委員会
  IECとはInternational Electrotechnical Commissionの略で、電気、電子、通信、原子力などの分野で各国の規格、標準の調整を行なう国際機関で、TC105はこの中の専門委員会であるTechnical Committee 105のことです。
*2 直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)
  メタノール水溶液を燃料とした高分子電解質膜を利用した燃料電池であり、メタノール水溶液と空気を直接電極に供給することで発電します。携帯情報端末やモバイルPCなどのユビキタス電源として期待されており、駆動に伴っては水と炭酸ガスのみが発生するため、環境にも優しい燃料電池です。
*3 「安全」
  「安全」は米国が議長を立候補し、昨年度、新作業部会「WG8」としてすでに国際承認され、活動に入っています。この他の作業部会として「互換性」があり、日本案(国際議長:株式会社東芝 ディスプレイ・部品材料統括 技師長の上野文雄氏)を提案中であり、国際投票後、10月のIEC/TC105シカゴ会議で正式発足の予定になっています。
 
 

お問い合わせ先

 
株式会社 日立製作所 研究開発本部 研究戦略統括センタ [担当:内田]
〒185−8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 (042) 327-7777 (ダイヤルイン)
 
 
以上
 
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