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2004年4月9日
新型直線駆動装置「トンネルアクチュエータ」で
世界最高加速度40Gを実現
−半導体製造装置、小型精密加工機械への適用に道−
日立製作所日立研究所(所長:福永 泰、以下:日立)は、高精度位置決め直線駆動装置(以下:トンネルアクチュエータ)で、直線駆動装置としては世界最高の加速度40G(重力加速度の40倍)を達成しました。トンネルアクチュエータは、従来のリニアモータと比べてコンパクトで、低コスト性に優れた特長を持っています。今回の高い加速度性能の実現は、今後、半導体製造装置、小型精密加工機械等の生産性向上への道を拓くものと言えます。
近年、半導体製造装置や工作機械などの生産性を向上するために、高速・急加減速・高精度位置決め等に適した直線駆動装置の適用範囲が拡大しています。しかし、従来、高速直線駆動装置として用いられているリニアモータ*1は、原理的に装置が大型で、かつ高い製作精度が必要であるため、コストが高いという課題がありました。このような背景から、リニアモータに代わるコンパクトで低コストの直線駆動装置の開発が望まれてきました。
日立で考案したトンネルアクチュエータは構造が簡単で組み立ても容易であることから、永久磁石から構成される可動子を軽量化することができます。今回、可動子の軽量化に加えて、急速な加減速に耐えられる高速高精度対応の制御システムを開発し、リニアモータに比べて2〜4倍にあたる世界最高加速度40Gを実現しました。開発技術の特長は、以下の通りです。
- コンパクトな構造:上部磁極歯と下部磁極歯の間隙に可動子を配置することにより、磁気吸引力を相殺しました。これにより、ギャップの支持機構を簡素化することができ、コンパクト化が可能です。
- 大きな推力の実現:上下の磁極歯間に磁束が流れるユニークな構造であるため、多極構造にしても漏れ磁束が少なく、大きな推進力が得られます。
- 軽量構造:可動子上の永久磁石は、N極、S極を交互に配置するだけで簡単に構成できます。従来のリニアモータの様に、鉄板に貼る必要がないので、1/5以下まで軽量化が可能です。
- 生産コスト低減:多極構造で構成する場合も、1相当りの電機子巻線が一つで済むため、生産コストの多くを占める、巻線作業やリード線処理が簡単になり、低コスト化が可能です。
今回、開発した高性能トンネルアクチュエータは、リニアモータよりコンパクト・低コストで、加速度性能が高いため、半導体製造装置、小型精密加工機械等の生産性の向上に寄与することが可能です。
今後、日立は応用製品の要求仕様に応じた最適システムの構築を進め、トンネルアクチュエータの1〜2年後の実装置への適用を目指します。
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用語説明
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*1 |
リニアモータ:回転モータを単純に切り開いて平面に展開した構造となっており、電機子と可動子との間に大きな磁気吸引力が働きます。この吸引力は必要とされる推力より数倍も大きな値になってしまうため、リニアベアリング等の案内支持機構に高い剛性と精度が要求されます。このため、従来のリニアモータは応用範囲に制限があり、低コスト化にも限界がありました。 |
試作したトンネルアクチュエータ
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以上