日立製作所は、このたび、XGA(注1)、SXGA(注2)、UXGA(注3)サイズの大
画面、高精細TFT液晶パネルの駆動用ドライバとして、0.35μm高耐圧プロセ
スの採用により、新たに256階調での出力電圧15V、65MHz動作を実現した
「HD66350」を製品化し、平成11年3月からサンプル出荷を開始します。
本製品は、1,677万色の大画面・広視野角表示を実現でき、さらに当社独自
のオフセットキャンセル方式を採用することで、出力電圧のばらつきを±3mV
に低減し、ムラのない高品質のパネル表示が可能です。
TFT液晶パネルを搭載したノート型パソコンや省スペース型デスクトップパソ
コン、モニターの好調により、TFT液晶パネルはXGA、SXGAサイズなど大画
面・高精細度の製品に需要がシフトしており、さらに今後はUXGAまで高精細
化が進むと考えられ、表示色は26万色から1,677万色へ多彩化しています。
また、IPS(注4)モード液晶等を採用した広視野角化のニーズも高まっていま
す。
これに伴い、高精細TFT液晶パネルのデータ線を駆動する専用ドライバの
需要も大きな伸びが期待され、当社はすでにXGAサイズのカラーTFT液晶用
として、384出力、10V出力電圧のドット反転タイプの64階調ドライバ
「HD66322」を製品化し、市場に投入してきました。
しかし、TFT液晶パネルのさらなる大型化、高精細化に伴い、垂直方向の
データ線を駆動するドライバに対して、パネル負荷に対応した高い駆動能力
と駆動電圧の均一化、高電圧出力などが求められています。そこで今回、新
たに0.35μm高耐圧プロセスを採用した384/402出力、15V出力電圧のドット
反転タイプの256階調ドライバとして「HD66350」を開発、製品化しました。
本製品は、XGA、SXGA、UXGAサイズの大画面、高精細カラーTFT液晶に
適したデータ線ドライバです。
1画素あたり8ビットのデジタルデータを受け取り、256階調の電圧を発生し、
1,677万色表示を実現します。8ビットのDAコンバータとオペアンプを402個内
蔵し、384出力と402出力の切り替えにより、XGAのデータ線を8個、SXGAを
10個、UXGAを12個で駆動できます。
その上、新たに0.35μm高耐圧プロセスを採用することで、出力電圧15Vを
実現し、IPSモード液晶に対応できるとともに、65MHzの高速動作も可能です。
また、データ線ドライバの重要な特性の一つに駆動電圧の均一性があり、
当社従来品では同一チップに内蔵した384個のオペアンプにおける入出力オ
フセット電圧のばらつきが、駆動電圧のばらつきとして±10mV程度発生して
いました。しかし、今回の製品では、当社独自の出力オフセットキャンセル方
式を採用することで、駆動電圧のばらつきを±3mVに抑えることができ、ムラ
のない高品質のパネル表示が実現可能です。
さらに、小チップ面積、低消費電力に有効な方式として、隣接出力間でオペ
アンプ回路を共有するペアアンプ方式を採用したことで、当社従来品の
「HD66322」と比較し、チップ面積を約80%、消費電力を約75%に低減しまし
た。
パッケージはTCP(注5)で、インナーリードに50μmピッチ技術を採用し、チ
ップサイズ、TCPサイズともに最小化を図りました。
今後も、オフセットキャンセル方式、ペアアンプ方式、多ピン化技術をベース
に、TFT液晶パネルの動向に合わせ、製品ラインナップの強化を図っていき
ます。
(注1)XGA(Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。
XGAはIBM社の登録商標で、ドットサイズは1,024×768ドット。
(注2)SXGA(Super Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。
ドットサイズは1,280×1,024ドット。
(注3)UXGA(Ultra Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。
ドットサイズは1,600×1,200ドット。
(注4)IPS(In Plane Switching):広視野角液晶パネルの構造。
(注5)TCP(Tape Carrier Package):
1mm厚以下の超薄型実装が可能な薄膜テープ上にマウントしたパッケ
ージ。
<応用機器>
TFT液晶パネル対応(ノート型パソコン、省スペース型デスクトップパソコン、
モニター)
<価 格>
製 品 名 | サンプル価格(円) |
HD66350T | 1,200 |
以 上
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