日立製作所は、このたび、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報機器の液晶表示に最適
な低消費電力液晶ドライバチップセット「HD66136、HD66137」を製品化し、平成10年12月からサンプ
ル出荷を開始します。本チップセットは、低消費電力を実現する新しい液晶駆動方式を採用し、消費
電力を従来方式の約50%(当社比)に低減しています。
液晶ディスプレイは、軽量、薄型、低消費電力などの特長を活かし、PDAなどの携帯情報機器の表
示システムとして幅広く使用されています。また、携帯電話やインターネットの普及により、携帯情報機
器の表示は、より大型化、カラー化対応などの高画質要求と、20時間を超える長時間使用を実現する
ための超低消費電力への対応が強く望まれています。
しかし、従来通りの液晶パネル構成では、画面の大型化やカラー化などの高画質に対応すると、駆
動素子数が増加するため、消費電力の上昇を伴います。すでに、LSI内部の論理回路部の低消費電
力化は様々な方法により低減化が進められていますが、高電圧で駆動される液晶パネルの充放電電
力の低減化については、液晶の駆動方法を工夫する必要がありました。
従来、液晶駆動法では、セグメント、コモンドライバともに同電位の高電圧(約20V前後)を用いて、液晶
素子の充放電を行なっていましたが、充放電電力の低減を図るためには、カラー化で数多く使用される
セグメントドライバの低消費電力化が重要となります。
そこで、当社は、高速動作を実現するとともに、セグメントドライバを3〜6Vの低電圧で駆動できる新し
い液晶駆動方法を採用しました。これにより、液晶パネルの充放電電力を低下させ、従来難しかった液
晶ディスプレイの大型化、カラー化における消費電力の大幅な低減が可能となります。
そして、今回、PDA向けの320×240ドットから640×240ドットまでのカラー中型液晶表示用に、新液晶駆
動方式を採用し、低消費電力化を追求した液晶ドライバチップセット「HD66136、HD66137」を製品化しま
した。今回の新液晶駆動方式は、低消費電力化だけではなく、液晶駆動波形の振幅を小さくするため、
駆動波形の波形ひずみも小さくなり、コントラスト低下が抑えられ、表示品質の向上が図れます。
本チップセットは、単純タイプのドライバであり、従来駆動方式のドライバとインタフェースが共通のため、
従来方式の液晶モジュールからそのまま置き換えることが可能です。表示システム全体としては、当社従
来比約50%(640×240ドット、カラー表示時)の低消費電力化が実現できます。
セグメントドライバ「HD66136」は、液晶駆動出力を400出力と384出力に切り替えることが可能なため、
多種の液晶パネルに対応できます。
コモンドライバ「HD66137」は、液晶駆動用の電源回路を一部内蔵しているため、新しい液晶駆動方式
であっても従来の電源回路を使用することが可能です。また、液晶駆動出力の交流化を行う信号を任意
のライン数で設定できるため、使用する液晶の周波数特性に合わせることも可能です。
「HD66136、HD66137」を組み合わせると、640×240ドットのカラー表示をそれぞれ5個と1個で実現でき
るため、大幅な部品点数の削減が可能です。
パッケージはTCP(Tape Carrier Package)を採用しており、軽量かつ額縁面積の狭いコンパクトな液晶
ディスプレイが実現できます。
今後の展開としては、さらなる低消費電力化への対応を行っていきます。
<応用機器>
・PDA
・サブノートパソコン
<価 格>
製 品 名 | サンプル価格(円) |
HD66136TA0 | 500 |
HD66137TA0 | 750 |
<仕 様>
「HD66136(セグメントドライバ)」
項 目 | 仕 様 |
機 能 | ドットマトリクス液晶駆動セグメントドライバ |
液晶駆動出力数 | 400出力/384出力切り替え |
データ転送周波数 | 33MHz/3V 40MHz/5V |
動作電圧 | 2.7V〜5.5V |
液晶駆動電源電圧 | 3.5V〜5.5V |
パッケージ | 438ピンTCP |
「HD66137(コモンドライバ)」
項 目 | 仕 様 |
機 能 | ドットマトリクス液晶駆動コモンドライバ |
液晶駆動出力数 | 240/200/160出力切り替え |
その他機能 | 電源回路一部内蔵、交流化信号発生回路内蔵 |
動作電圧 | 2.7V〜5.5V |
液晶駆動電源電圧 | 20V〜43V |
パッケージ | 273ピンTCP |
以 上
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