日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、デジタル携帯電話等に搭載するTFTカラー液晶表示システム用のLSIとして、1チップでメイン液晶(132×176ピクセル)とサブ液晶(132×96ピクセル)の両画面を同時に駆動でき、26万2千色表示に対応した「HD66777」を製品化しました。また、1チップでメイン液晶(132×176ピクセル)のみを駆動する26万2千色表示対応の「HD66785」も同時に製品化し、両製品とも2003年3月11日からサンプル出荷を開始します。
近年、デジタル携帯電話は、静止画や動画およびカメラ画像等の表示のため多色表示化が進んでいます。しかし最近、携帯電話に搭載するカメラの画素数向上により、撮影写真などの画像をよりリアルに表示するため、現在主流の6万5千色表示以上の高画質表示へのニーズがあります。一方、折り畳み型の携帯電話では、着信情報表示などのためサブ液晶の搭載が一般的になっています。しかし、このサブ液晶にもカメラの写真画像を表示する傾向が拡大しており、メイン液晶と同様の高画質表示のニーズがあります。さらに、携帯電話の実装スペースは限られているため、デバイスに対しては、小面積で効率の良い実装ができ、またシステムの低価格化を図れることが望まれていました。
当社は、このようなニーズに対応するため「HD66777」および「HD66785」を製品化しました。両製品はアモルファスTFTカラー液晶表示システム用LSIで、1チップで26万2千色の表示を実現し、「HD66785」は、132×176ピクセルの画面サイズ、「HD66777」は、132×272ピクセルの画面サイズに対応しています。
「HD66777」は、132×272ピクセルの領域を任意のサイズに分割してメイン/サブの液晶表示に割りあて、メイン/サブ液晶を同時に駆動、またはそれぞれを独立に駆動することが可能です。例えば、メイン液晶を132×176ピクセル、サブ液晶を96×96ピクセルや132×96ピクセルとした表示が可能であり、ユーザのニーズに合わせて構成することができます。
これにより、従来はメイン液晶とサブ液晶で、それぞれ必要であった液晶ドライバが1つで済み、実装面積の半減、および外付け部品の共有により、部品点数も半減できるため、液晶パネルモジュールの小型化、薄型化を実現できるだけでなく、モジュールコストを当社比で約25%削減可能です。
また、「HD66777」は、動画アプリケーションの補助機能として、背景画面を素通し表示するアルファブレンディング機能や、動画像データへのテキスト・アイコン表示を容易に実現するオンスクリーン・ディスプレイなどの機能を搭載しており、動画像データへの加工が容易に行えます。これにより、サブ液晶の表示内容としては、これまで主流であった静止画表示に加え、搭載カメラのモニターとしての利用や動画像コンテンツの再生なども容易に実現できます。
また、待ち受け表示時のパネルを含む消費電力は、カラーSTN液晶パネル相当の0.8mW以下を実現しており、待ち受け時間の長時間化に寄与します。
さらに、「HD66777」「HD66785」は、表示RAMへのデータ書き込み用として、最大160Mbps(bit per second)の速度で処理を行える高速バーストRAMライト機能を内蔵しています。本機能により、カラー画像データなどの大容量データ書き込みや動画像表示を行なうためのRAM内容の高速表示書き換えが可能となり、スムーズな動画表示が実現可能です。
実装方法は、ガラスに直接フェースダウンするCOG(注1)実装に対応しています。
今後、市場ニーズに対応した製品の開発やラインアップの充実を図っていきます。