日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、次世代携帯電話向けのアプリケーション・プロセッサ「SH-Mobile」シリーズの最上位機種「SH7300」を搭載する携帯電話システムの開発ソリューションを、ハードウェアからソフトウェアまでトータルで提供する「SH7300 統合プラットフォーム」を用意しました。2003年1月から提供開始します。
「SH7300 統合プラットフォーム」は、(1)アプリケーション開発ボードの「SH7300 Solution Engine® (ソリューションエンジン)(注1)」、(2)アプリケーション開発環境を構築する「SH7300 HI Application EngineTM (ハイ・アプリケーションエンジン) (注2)」、(3)携帯電話向けの動画/音声同期再生やビデオメール用の「SH7300 ミドルウェア群」やAPI(Application Programming Interface)等で構成しています。システム開発に効果的なハードウェアからソフトウェアまでの環境をトータルで揃えたことで、ユーザは、「SH7300」を使用する高機能な次世代携帯電話用のアプリケーション開発を効率良く行なうことができ、従来に比較してアプリケーション開発期間を約1/2に短縮できます。さらに、「SH7300」に搭載されているMPEG-4ハードウェア・アクセラレータを最大限活用できるライブラリ群などを揃えているため、次世代携帯電話でのTV電話機能の容易な開発および評価が行なえます。
「SH7300 Solution Engine」および「SH7300 HI Application Engine」は、株式会社日立超LSIシステムズ製であり、日立製作所がトータルソリューションの提供を行ないます。
近年の携帯電話は音声通話以外にゲームや画像配信など高機能で多彩なアプリケーションが拡大しています。当社は、このようなアプリケーションを専用に処理する高性能アプリケーション・プロセッサとして「SH-Mobile」シリーズを製品化し、好評を得ています。さらに、最新製品として、高速データ通信をベースとした次世代携帯電話のTV電話等のアプリケーションを快適に動作するため、MPEG-4のハードウェア・アクセラレータを搭載した「SH7300」を製品化しました。一方、多彩で高機能なアプリケーションを開発する上では、プロセッサの高速化や高性能化に伴ない、搭載するアプリケーションソフトウェアの大規模化、複雑化が進み、開発期間の増加が予想されます。このため、最終製品のタイムリーな市場投入を図るには、システムやアプリケーションを効率良く開発できることが強く求められています。
当社は、このようなニーズに応えるため、「SH7300」を使用する次世代携帯電話システムの開発向けに、アプリケーション開発のトータルソリューションを提供することを目的として、アプリケーションの開発ボードや開発環境の構築ソフトウェアおよび各種ミドルウェア群を統合した、「SH7300 統合プラットフォーム」を用意しました。
ユーザは「SH7300 統合プラットフォーム」を使用することで、これまでユーザ自身が行なっていた開発環境構築の負担が大幅に軽減できるため、アプリケーション開発を早期に開始でき、かつ重点的に行なえます。さらに各種のミドルウェアを使用することで多彩なアプリケーションの開発が容易です。開発環境構築の負担低減やAPI、ミドルウェアなどのアプリケーション作成に効果的なソフトウェアを揃えたことで、ユーザにおけるアプリケーション開発の環境構築から開発終了までの期間を約1/2に短縮することができます。
「SH7300 統合プラットフォーム」の構成および特長は以下のとおりです。
<構成および特長> |
(1) SH7300 Solution Engine
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動作周波数118.8MHzの「SH7300」を搭載したアプリケーション開発用のボードで、携帯電話のアプリケーション開発に必要な機能やインタフェース等をコンパクトに実装。VGAサイズのCMOSカメラモジュールや2枚の液晶パネル、30個のキースイッチなどを100mm×254mmの小型サイズに納め、さらにオーディオインタフェースや拡張スロットを備えているため外部デバイスの接続が容易。また、小型サイズのため机などの小スペースの場所でもアプリケーション開発を行なえます。さらに、本ボードの回路図はユーザに提供され、ユーザはシステムのハードウェア開発時に回路を流用できるため、ハードウェア開発期間の短縮も可能。
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(2) SH7300 HI Application Engine
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アプリケーションの開発環境を構築するためのOS(Operating System)やデバッガを含むソフトウェア群。アプリケーション開発を開始する際に、従来、準備段階として必要であったOSの立ち上げやデバイスドライバの整備等の煩雑な作業が不要となり、OSのμITRON(注3)でのアプリケーション開発環境を容易に実現可能。また通常のICE(In Circuit Emulator)では非常に困難であったマルチタスク・アプリケーションの評価を容易にでき、さらにデバッグ環境も提供しているため、システム開発時に最も時間を要する評価期間を最小限に抑えることが可能。
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(3)SH7300ミドルウェア群とAPI(Application Programming Interface)、MPEG-4用ライブラリ
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サウンド対応のMP3、画像処理対応のJPEGやMPEG-4、通信や音声対応のミドルウェアの他、動画/音声同期再生、ビデオメール、シリコンオーディオ等の「SH7300」用に最適化したミドルウェア群を用意。これにより、ユーザにおける多彩なマルチメディア対応アプリケーションの容易な開発をサポート。また、携帯電話向けのビデオメール等のAPIを準備しており、ユーザは本APIを呼び出すだけで、ビデオメール等の機能を容易に実現可能。
さらに、「SH7300」に搭載しているMPEG-4のハードウェア・アクセラレータを最大限に活用できるライブラリ群を揃えているため、アクセラレータを使用した動画再生やTV電話機能など次世代携帯電話向けのアプリケーションの開発と評価が容易。これらのソフトウェアにより、多彩で高機能なアプリケーションの短期開発が実現可能。
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