株式会社日立製作所(取締役社長 庄山 悦彦、以下 日立製作所)と三菱電機株式会社(取締役社長
野間口 有、以下 三菱電機)は、本年3月18日以降、システムLSI事業の統合に向けた検討を行ってきましたが、本日、システムLSI事業を中心とする半導体新会社「株式会社 ルネサス テクノロジ」(以下ルネサス テクノロジ)を2003年4月1日に設立することで基本合意しました。新会社は、豊かなユビキタス社会を実現するため、システムパートナをグローバルに支えるインテリジェントチップソリューションのプロバイダとして、信頼される半導体会社を目指します。
両社は、会社分割制度を利用した分社型共同新設分割により新会社を設立し、両社のマイコン、ロジック、アナログ、ディスクリート半導体、DRAMを除くメモリ(フラッシュメモリ・SRAM等)を含む半導体事業を新会社に移管します。新会社は、両社において会社分割のための法定手続きを経た後に設立されます。会長&CEOには、長澤 紘一(現 三菱電機 専務取締役 半導体事業本部長)、社長&COOには、伊藤 達(現 日立製作所 上席常務 半導体グループ長&CEO)の就任を予定しています。
なお、新会社設立と同時に、国内における両社の販売、サービス部門及び販売会社を統合することで、開発、設計、製造から販売、サービスに至る一貫体制を設立時より確立し、お客様の立場に立ったシステムソリューションを提供します。
統合の対象となる事業に従事する従業員は、「会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」に基づいて、新会社設立と同時に承継転籍することを予定しています。
近年の半導体事業を取り巻く環境は、パソコンや携帯電話に代表される様に新製品投入のサイクルが短くなっており、それらの製品に組み込まれる半導体には、開発から製造までの時間を短縮することが求められています。この様な環境の中で、新会社は半導体専業の独立会社として事業運営し、資金調達、設備投資などを含む意思決定のスピードを更に加速させ、自立運営していきます。また、両社の持つ世界をリードする技術力を融合し、今後市場の拡大が見込まれるシステムLSI分野における世界最強の供給メーカーを目指し事業を強力に推進します。
具体的には、(1)システムLSIの核となるマイクロコントローラ(MCU)では、新会社のフラッグシップとしてのマイコン事業で安定的な経営基盤を確保、(2)技術優位性のあるアナログ、フラッシュメモリ、
ディスクリート半導体事業を強化し、収益の柱として育成、(3)両社の強みである応用技術力を活かしたシステムオンチップ(SoC)事業において、マイコン、ロジック、アナログを組み合わせた複合製品で成長新分野を狙うこと、により事業を拡大します。特に、モバイル、ネットワーク、自動車、デジタル家電分野におけるリーディングポジションを目指します。これらにより、新会社が発足する2003年度の売上高は9,000億円以上を目指します。
また、統合により売上高が拡大することや、開発拠点の集約、生産設備の共用や資材の集中購買を通じたコスト削減により、安定的で強固な財務体質を実現します。
なお、新会社のブランド名は、「RENESAS」(ルネサス)とし、順次統一ブランド製品を提供していきます。
*新統一ブランドの「RENESAS」は、Renaissance Semiconductor for Advanced Solutions の結合語です。
■事業統合の概要
1.会社分割の要旨
(1) 分割の日程
分割計画書承認株主総会 2003年2月上旬予定
分割期日 2003年 4月 1日予定
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(2) 分割方式 |
- 分割方式:日立製作所、三菱電機が新会社ルネサステクノロジを設立し、日立製作所、三菱電機がルネサステクノロジの株式割当を受ける分社型共同新設分割です。
- 分割方式を採用した理由:日立製作所及び三菱電機における半導体事業を分割し、事業統合に伴う権利義務等を包括的に承継することにより、事業運営をスムーズに移行させるために本分割方式を採用しました。
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(3) 株式の割当 |
- 割当比率
本件分割に際し、新会社ルネサス テクノロジは、普通株式500万株を発行し、日立製作所が275万株(55%)、三菱電機が225万株(45%)の割当交付を受ける予定です。
- 株式割当比率の算定根拠
株式割当比率に関し、その公正性、妥当性を確保する観点から、日立製作所はゴールドマン・サックス証券会社に、三菱電機はJ.P.モルガン証券会社に、分割対象事業の価値の算定を依頼し、その算定結果をもとに、両社協議を重ねた結果、株式割当比率を日立製作所:三菱電機=55:45とすることに合意しました。
- 第三者機関による算定結果、算定方法及び算定根拠
ゴールドマン・サックス証券会社及びJ.P.モルガン証券会社は、それぞれ日立製作所及び三菱電機から提出された分割対象事業に係る諸資料等を前提に、DCF(ディスカウンティッド・キャッシュフロー)法、類似企業比較法、貢献度分析等に基づき、両社の分割対象事業の連結ベースでの株主価値を算出し、これらを総合的に勘案した上で、株式割当比率のレンジをそれぞれの依頼先の日立製作所及び三菱電機に提示しました。
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(4) 新会社に承継させる権利義務
日立製作所、三菱電機は、承継事業に関する資産及び負債、並びに承継事業に関する主要な契約に
おける契約上の地位を新会社に承継させます。
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2.分割当事会社の概要 (各個別ベース) |
(2002年3月31日現在、新会社は設立時予定) |
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3.最近3決算期間の業績(各個別ベース) |
(単位:百万円) |
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4.分割する事業の内容 |
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日立製作所半導体グループが担当する事業、並びに三菱電機半導体事業本部システムLSI事業統括部及びメモリ事業統括部が担当する事業。但し、DRAMに関する事業は除く。
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5.分割後の分割会社の状況 |
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日立製作所、三菱電機ともに商号、事業内容、本店所在地、代表者の変更はありません。
また、本件における資本金の減少はありません。
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6.新会社ルネサス テクノロジの概要(分割後、各数値は現時点での予定です) |
(1) 会 社 名 |
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株式会社 ルネサス テクノロジ (英文名称:Renesas Technology Corp.) |
(2) 本店所在地 |
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東京都千代田区 |
(3) 主要工場 |
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茨城県ひたちなか市、山梨県中巨摩郡、群馬県高崎市 |
兵庫県伊丹市、愛媛県西条市、高知県香美郡 |
(4) 資 本 金 |
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500億円 |
(5) 出資比率 |
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日立製作所 55%、三菱電機 45%
日立製作所、三菱電機にとって新会社ルネサステクノロジは持分法適用関連会社となる予定です。新会社の事業は自主・独立の運営をしますが、重要な経営事項については、両社の合意により決定します。
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(6) 会社設立日 |
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2003年4月1日 |
(7) 事業内容 |
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マイコン・ロジック・アナログ等のシステムLSI、ディスクリート半導体、フラッシュメモリ・SRAM等のメモリの開発、設計、製造、販売、サービスの提供
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(8) 代 表 者 |
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会長&CEO 長澤 紘一(現 三菱電機 専務取締役 半導体事業本部長) |
社長&COO 伊藤 達(現 日立製作所 上席常務 半導体グループ長&CEO) |
副社長 福田 泰彦(現 三菱電機 役員 半導体事業本部 副事業本部長) |
副社長 伊藤 正義(現 日立製作所 理事 半導体グループ CMO兼CIO) |
なお、以上は全て代表取締役です。 |
(9) 売 上 高 |
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9,000億円以上(2003年度目標(連結)) |
(10)従業員数 |
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約27,200名(連結) |
(11)新会社ルネサス テクノロジの販売体制について |
国内販売体制については、両社の販売部門及び半導体販売会社である株式会社日立セミコンデバイスと三菱電機セミコンダクタシステム株式会社の2社を、2003年4月1日を目処に統合、新販売会社を設立し、販売活動を開始します。海外販売体制については、2003年度内を目処に、欧州、米国、アジア各地域における両社の拠点を統合する予定です。 |
(12)開発・製造拠点について |
0.1μmクラスの先端プロセス開発拠点は、現在の三菱電機北伊丹事業所内に集約します。製造拠点においては、両社の生産設備をそのまま継承しますが、事業計画に基づき、重複する研究開発費用の削減や生産設備の共有、相互見直しによる重複投資の排除などを進め、事業の効率化を図るとともに、シナジー効果により開発スピードを更に加速します。 |