日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、携帯電話向けのアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile(SuperHTM(注1) Mobile Application Processor)」シリーズの第3弾として、高速データ通信をベースとした次世代携帯電話のアプリケーションであるTV電話等の動画像や音声処理を高速に実行する高性能プロセッサ「SH7300」を製品化し、2002年11月よりサンプル出荷を開始します。
「SH-Mobile」シリーズは、携帯電話システムにおいて、通信処理を主として行なうベースバンドLSIと接続して、音声や動画などのマルチメディア・アプリケーションを専用に処理するプロセッサです。「SH7300」は、画像処理用のMPEG-4(注2)ハードウェアアクセラレータを搭載しており、当社従来品ではミドルウェアで対応していた処理を高速に実行することが可能です。さらにSXGAカメラ対応のインタフェースを内蔵しているため、TV電話機能や高精細カメラを備える次世代携帯電話に適し、さらに、アプリケーションの開発用プラットフォームや多様なミドルウェアも用意しており、アプリケーションソフトウェアの開発も効率良く短期間で行なうことが可能です。
近年の携帯電話は、音声通話以外に、ゲームや動画配信など高機能で多彩なアプリケーションが拡大しています。当社は、既に、携帯電話システムにおけるこのようなアプリケーションを専用に処理するプロセッサとして「SH-Mobile」シリーズを製品化し、好評を得ています。しかし、3Gの携帯電話においては、通信速度の高速化により、高速データ転送が可能になることから、TV電話などのアプリケーションが拡大すると予想されており、プロセッサに対しては更なる高速な画像処理性能が要求されています。さらに、カメラ付き携帯電話においては、カメラの撮影画素数の増加が目覚しく、現在のCIF(注3)、VGA(注4)サイズから、今後はSXGA(注5)サイズへ移行することが予想されており、これに対応できるプロセッサのニーズが強くなっています。
当社は、このようなニーズに対応するため、「SH-Mobile」シリーズの第3弾として、第1弾製品の「SH7290」をベースに、MPEG-4アクセラレータを搭載して画像処理速度の大幅な高速化に加え、SXGAカメラ対応インタフェース内蔵など機能を強化した「SH7300」を製品化しました。
本製品は、従来の「SH-Mobile」シリーズと同様、デジタルスチルカメラ等のマルチメディア携帯機器向けに適したSuperHファミリのCPUコア「SH3-DSP」を搭載しています。これまでの「SH-Mobile」シリーズと同様に、動作させる機能に応じてモジュールごとの電源遮断が可能なため、システムとしての低消費電力化を実現できます。動作周波数は133MHzであり、主な特長は以下のとおりです。
<特長> |
(1) MPEG-4のハードウェアアクセラレータ搭載により、MPEG-4処理性能を従来比2倍以上向上 |
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本製品は、MPEG-4の処理を高速に行なえるエンコード/デコード処理用のハードウェアアクセラレータを搭載。ハードウェア処理により低消費電力化が図れたうえ、MPEG-4処理の大半をミドルウェアで対応していた従来の「SH-Mobile」シリーズに比較し、CPU負荷を1/5に軽減。CPU負荷の軽減により、MPEG-4の処理性能を2倍以上向上。これにより、動画再生やTV電話などの機能を搭載する高機能なシステムを低消費電力で実現可能。
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(2)高精細SXGAカメラ対応インタフェースを内蔵し、スムーズで快適な表示を実現可能 |
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SXGAサイズのカメラを直接接続できるインタフェースを内蔵。高精細カメラの大容量画像データを高速に取り込むことができるため、画像処理の高速化を実現。電子ズーム表示など高精細カメラ画像による多彩な表示が可能であり、TV電話等でのスムーズで快適な表示を実現可能。
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(3)ミドルウェアの拡充として、動画記録ミドルウェアを用意。これにより、ビデオメール機能の開発容易化が可能
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動画・音声を同時記録するフォーマットのMP4(注6)に対応した動画記録ミドルウェアを用意。アプリケーションから本ミドルウェアを呼び出すだけで、動画と音声をMP4ファイルフォーマットのデータとして保存、および動画と音声の同期再生が可能。これにより、ユーザはアプリケーションプログラムに本ミドルウェアを呼び出すユーザインタフェースを作成するだけでビデオメール機能を容易に開発可能。また、本動画記録ミドルウェアでは、一旦保存した動画にあとから音声を吹き込むアフレコ機能もサポートしており、ビデオメールの機能拡張が容易。
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(4)多様な周辺モジュールやインタフェースを搭載した開発用プラットフォームにより、アプリケーションプログラムの開発が容易
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AND型やNAND型のフラッシュメモリとのインタフェースなど次世代携帯電話で必要な多様な周辺モジュール、及びインタフェースを搭載した開発用プラットフォームを用意。高速なアプリケーションにも対応できるよう高速SDRAMを搭載し、さらに、キーボードや小型のQVGA(注7)サイズのカラーLCDパネル、VGAサイズの超小型カメラの搭載により、マルチメディア対応の各種アプリケーションプログラムを容易に短期間で開発することが可能。
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