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2002年2月5日
 
次世代携帯電話向け低電力アプリケーションプロセッサ技術を開発
−MPEG4符号化ソフトウェアを70MHz, 140mWで実行−
   日立製作所中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、携帯電話上でのマルチメディア処理を高速かつ低消費電力で実現する、次世代携帯電話に向けた低電力アプリケーションプロセッサ技術を開発しました。本技術を、ビデオメールやテレビ電話などに必要なMPEG-4の符号化ソフトウェアに適用した結果、70MHz, 140mWという専用ハードウエア並みの低電力で実行することを確認しました。本技術は、MPEG-4のみならず音楽再生やJavaTM処理などにも適用可能であり、次世代の携帯電話に求められる様々なマルチメディア機能を低コスト・低電力で実現することができます。

   携帯電話はここ数年で爆発的に普及しましたが、これを牽引しているのが、WWW(World Wide Web)のブラウズ機能や音楽再生機能など携帯端末の高機能化です。今後は、第3世代携帯電話(注1)への移行に伴うデータ転送性能の向上により、動画の発信/受信などマルチメディア関連機能がさらに追加されると予想されます。従来の携帯電話では、主にベースバンドプロセッサの余剰性能により機能拡張を実現してきましたが、マルチメディア機能の要求向上とともに、余剰性能だけでは十分な機能拡張に限界があると考えられます。
   そこで、当所では、携帯電話に向けた種々のマルチメディア処理に対応するために、汎用CPU/DSPを用いてソフトウェアで柔軟な機能拡張が可能なアプリケーションプロセッサ(注2)技術を提案し、その効果を確認しました。この技術の主な特徴は、以下の通りです。

(1) フルDSP機能を内蔵した低消費電力SH3-DSPコア(注3)を開発しました。本プロセッサコアはクロックおよびメモリにおいて活性化率の低減を図ることで、動作時の電力を削減しています。これにより、133MHz動作時に170mWと携帯電話用途に適した高性能・低消費電力を実現しています。
(2) 1マシンサイクルでリードおよびライトが可能な大容量オンチップSRAM(容量128Kバイト)を用いたマルチメディア処理向けメモリアーキテクチャを開発しました。画像処理などに必要なデータを大容量オンチップSRAM内に格納することにより、外部RAM/ROMのアクセス回数が低減でき、高速かつ低電力なリアルタイム処理が可能となります。
(3) 携帯電話における長い待受け時間を実現するために、部分電源遮断型スタンバイモードを開発しました。これにより待受け時に動作しない大半の回路に関しては電源を遮断することにより、LSI全体で10μA以下と非常に低いスタンバイ電流を実現できます。

   本技術を、MPEG-4(注4)符号化ソフトウェアを対象に、上記フルDSP機能および大容量SRAMを用いて最適化したところ、QCIF(注5)、15fps (frames per second)での符号化処理を、70MHz, 140mWとMPEG-4専用ハードウェア並みの電力で実現可能なことを、実際のLSIを用いて確認しました。本技術は、MPEG-4のみならず音楽再生やJavaTM(注6)処理などにも適用可能であり、次世代の携帯電話に求められる様々なマルチメディア機能を低コスト・低電力で実現することができます。今後、次世代携帯電話での幅広い使用が大いに期待できます。

   なお本技術は、2月4日から米国サンフランシスコで開催される「国際固体素子回路会議(ISSCC:International Solid-State Circuits Conference)」で発表する予定です。

<用語解説>
(1) 第3世代携帯電話:国際電機通信連合(ITU)の定めた標準規格IMT-2000に準拠した次世代携帯電話のこと。データ転送レートが144Kbps〜2Mbpsと従来の方式に比べ高速なデータ通信が可能となる。
(2) アプリケーションプロセッサ:携帯電話において、基本機能である通信・通話を司るプロセッサをベースバンドプロセッサと呼ぶ。これに対して、上記基本機能以外の処理、例えば、WWWのブラウザやマルチメディア処理などを実行する専用のプロセッサをアプリケーションプロセッサと呼ぶ。
(3) SH3-DSP:SuperHTM RISC engineファミリのCPUコアの1つで、音声や画像処理高速化のためにDSP機能を内蔵しており、低消費電力のマルチメディア機器に適している。
SuperHは(株)日立製作所の商標です。
(4) MPEG-4:動画像を圧縮するための規格の1つ。現在、MPEG-1、MPEG-2、および、MPEG-4が商用化されているが、この中でも特にMPEG-4は圧縮率が高く、数10〜数100Kbps(bits per second)程度の低ビットレートにおける動画像圧縮に適しているため、携帯電話における動画像配信に用いられる。
(5) QCIF(Quarter Common Intermediate Format):ビデオ信号フォーマットで、横176画素×縦144画素のもの。
(6) JavaTM:米国Sun Microsystems,Inc.が開発したプログラミング言語および動作環境。プログラムの動作がプラットフォームに依存しないことから、近年携帯電話におけるアプリケーション開発・配信に用いられている。
Java 及びすべてのJava関連の商標及びロゴは,米国及びその他の国における米国Sun Microsystems,Inc.の商標または登録商標です。

以 上




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