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2001年6月25日
 
世界初、波長635nm帯でアスペクト比1.2typ.の円形ビームを実現した
赤色レーザダイオード 「マルビームシリーズ」を製品化
--  レーザマーカ等レーザ応用機器の光学系構成を簡略化できると共に、低消費電流を実現  --
マルビームシリーズ
マルビームシリーズ
左:HL6340MGシリーズ
右:HL6335Gシリーズ

  日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 長谷川 邦夫)は、このたび、波長635nm帯レーザダイオードで、世界で初めてアスペクト比(注1)1.2typ.の円形ビームを実現した赤色レーザダイオード「マルビームシリーズ」を製品化しました。
第一弾として、光出力5mWで直径9mmパッケージの「HL6335G」シリーズと、直径5.6mmと小型パッケージの「HL6340MG」シリーズを製品化し、「HL6335G」シリーズは2001年7月より、「HL6340MG」シリーズは同年8月よりサンプル出荷を開始します。
  従来の楕円形ビームから、今回のアスペクト比1.2typ.の円形ビームを実現したことにより、レーザレベラなどのレーザマーカや、センサ搭載機器のビーム整形機構の簡略化、または光ファイバチェッカにおける光ファイバとの結合の容易化、効率向上が図れます。
また、動作電流(Iop)を25mA(Po=5mW、Tc=25℃)typ.と、当社従来の低動作電流タイプ品に比べ約40%低減しており、当社従来品の使用環境を継続できると共に、バッテリー駆動の長時間化が可能です。

<背景>
  波長635nm帯のレーザダイオードは、現在量産中の半導体レーザダイオードの中で最も明るく視感度が良いことから、工事現場の直線出し等のレーザレベラ用光源や位置制御等のレーザマーカ、またはファイバーチェッカ等に使用されています。当社でも既に、波長635nm帯で光出力3〜35mWの製品をラインアップし、量産中です。
  レーザダイオードのレーザビームは垂直方向と水平方向の比率であるアスペクト比が1.0の円形ビームが理想ですが、構造上の難しさから、現在の635nm帯の製品のアスペクト比は3.5〜4.0であり、当社でも「HL6312G」シリーズ(635nm/5mW)が3.8となっています。
このため、応用機器においては、光を効率よく使うために口径の大きなレンズや、光取り込み角の大きなレンズを使用したり、レーザダイオードの楕円形ビームをシリンドリカルレンズ等により円形ビームに整形する必要があり、初めから光源自体が円形ビームのレーザダイオードが強く求められていました。

  当社ではこうしたニーズに対応するため、波長635nm帯で、世界で初めてアスペクト比1.2typ.の円形ビームを実現したレーザダイオード「マルビームシリーズ」を製品化しました。

<製品について>
  本シリーズは、独自に開発した自己整合実屈折率導波路(SRI)構造(注2)を採用し、また活性層厚や端面反射率などの構造パラメータを最適化することにより、波長635nm帯で世界で初めてアスペクト比1.2typ.の円形ビームを実現したレーザダイオードです。レーザ応用機器で円形ビームに整形する必要がなくなるため、光学系の構成部品の低減、設計の容易化が図れます。
  また、SRI構造の採用と歪多重量子井戸(MQW)構造(注3)の最適化により、635nm帯で世界最高水準の低消費電流も実現しました。第一弾製品で635nm/5mWの「HL6335G」「HL6340MG」シリーズでは、動作電流(Iop)25mA(Po=5mW、Tc=25℃)typ.と、当社従来の低動作電流タイプ「HL6325G」シリーズ(635nm/5mW)より約40%低減しており、バッテリー駆動時間の長寿命化が可能です。

  また、動作温度50℃を実現しており、パッケージは放熱の取り易い直径9mm(HL6335Gシリーズ)と直径5.6mm(HL6340MGシリーズ)を採用することで、当社従来の「HL6325G」シリーズ等と同じ放熱設計ができ、実装設計も容易です。
  なお、2シリーズ共、極性はアノードコモン、カソードコモンそれぞれを揃えています。

  今後は、635nm帯、アスペクト比1.2typ.の「マルビームシリーズ」における高出力展開を進め、円形ビーム製品のシリーズ化を図っていきます。

(注1) アスペクト比(ビーム拡がり角比):一般的な半導体レーザでは発光部(活性層)は水平方向が数μm、垂直方向が0.05μm程度であるため、レーザ光は回折により拡がりを持ちます。
レンズ結合や光ファイバ結合においては垂直方向(θ⊥)のビーム拡がり角と、水平方向 (θ//)の比(アスペクト比=θ⊥/θ//)が重要なパラメータとなります。アスペクト比1.0の円形ビームが理想。
(注2) 自己整合実屈折率導波路(SRI)構造:SRI(Self aligned Refractive Index)構造は、レーザダイオードの活性層を屈折率差のあるクラッド層で挟み込む結晶成長時に、同時に水平方向のブロック層を形成する導波路構造です。垂直方向のクラッド層と水平方向のブロック層を同時に形成するため、各層幅を精度よくコントロールでき、低アスペクト比化が図れます。
(注3) 歪多重量子井戸(MQW)構造:MQW(Multi-Quantum Well)構造は、レーザダイオードの活性層を、厚さ数nmの量子井戸層と障壁層の積層構造としたものです。発光領域となる量子井戸層の組成を調整し、基板よりも格子定数の小さい結晶とする事により、量子井戸層には引張り歪が導入されます。この歪によってバンド構造が変化する事で、しきい値電流の低減、およびスロープ効率の増加が図れます。

■応用機器
●レーザマーカ(レーザレベラ、墨出し器など)
●レーザセンサ(光ファイバチェッカ、チップマウンタなど)
●教育・実験用機器

■価格


■仕様
1.絶対最大定格(Tc=25±3℃)

(*)パルス条件:Pw=1μs、duty=50%


2.電気的光学的特性(Tc=25±3℃)

*キンクフリーは25℃の温度において確認したものです。

以 上




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