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2003年4月24日
長期予報を取り込み可能な天候デリバティブシステムを開発
- 高い予測精度とデータの自動メンテナンスにより、最先端の商品開発に対応 -
株式会社 日立製作所は、長期予報を反映させることでリスク計測精度を高めた天候デリバティブ向けソリューションを開発し、2003年3月より提供を開始しました。これにより従来のオプションプレミアム(保険料に相当)を数十パーセント下げることが可能となり、天候リスク回避を考えている企業にとって、リスク回避コストが軽減されることになります。
本ソリューションは、気象庁発表のデータに欠落が合った場合の補完機能を備え、データ処理機能からプライシングまでの一体管理を可能とするシステムとなっています。
ここで、従来ではリスク計測が困難とされた降水量リスクについても、専用の確率モデルを適用するなど、気象特性にあったモデルが選択できるようになっています。
本システムは、一部機能を国内大手損害保険会社の協力を得て開発し、すでに同社において2003年3月より運用が開始されています。また損害保険会社と同様に、天候リスクが事業リスクとなる電力会社、商社などのお客様へ今後展開していく予定です。
1. リスク計測機能
本ソリューションでは、長年天候デリバティブ取引を行う上で課題となっていた、長期予報を利用したプライシング機能を備えることで、リスク測定精度の高度化に成功しました。これは、中長期予報において発表される「平年並みを上回る確率」「平年並みを下回る確率」を確率モデルに取り込み、シナリオの発生に用いるもので、検証の結果、予測精度が数十パーセント向上しました。
また、従来では異なる気象要素(気温、降水量など)に対しても単一のモデルで対応していましたが、それぞれの気象特性に合わせた確率モデルを開発しました。特に降水量については「マルコフ過程モデル」(※)を適用するなど、より精度の高いリスク計測を可能としています。
2. 天候データ補完機能
気象庁発表のデータには、観測所のメンテナンス・故障などにより欠測がみられ、プライシングをする際の障害になっており、従来は各企業内で手作業などによって対応していました。
本システムは国内の全気象観測地点の相関分析により、自動的に観測データの補完を行います。これによりプライシング作業上もっとも時間がかかっていたデータ処理を一瞬にして処理することが可能となりました。
3. エネルギーリスク管理ソリューションに向けた日立製作所の取組
日立製作所は、長年に渡り国内外電力会社向けに発電・変電設備を供給するなど、エネルギー分野を重要な事業の一つに位置づけています。電力需要は気象によって大きく変化するため、電力会社が安定的に電力供給を行うには、長期的な天候観測データが不可欠となります。このたび開発した天候デリバティブシステムを電力会社が利用することで、電力会社は今までよりも低コストかつ高精度で天候リスクを回避することができます。今後日立製作所は、天候デリバティブシステムの販売を開始することにより、発電・変電設備や制御システムだけでなく天候リスクの回避といった発電の運用面でも、ライフラインを支えていく予定です。
※ 降雨マルコフ過程モデル
降水なしの日と、ありの日が前日状態のみに依存するとした確率過程モデル。本モデルにもとづき算出したものは実際の降雨パターンを非常によく表していることを検証している。
問合せ先
株式会社日立製作所
情報・通信グループ ビジネスソリューション事業部
ファイナンシャルコンサルティング部
[ 担当:二木 ]
〒
212-8567
神奈川県川崎市幸区鹿島田890 日立システムプラザ新川崎
電話(044)549−1111(代表)
以上
このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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