日立製作所 半導体グループ(グループ長＆CEO 石橋 正)は、このたび、当社の32ビットRISCマイコ
ン「SH2-DSP」シリーズのラインアップ強化として、PCと接続するデジタルスチルカメラやMP3(注1)
プレーヤーなどのマルチメディア機器向けに、USB(Universal Serial Bus)ファンクションの機能を
内蔵した「SH7622」を製品化し、平成12年4月からサンプル出荷を開始します。

　近年、PCの周辺機器接続用インタフェースとしては、従来のRS-232CやIrDA(Infrared Data 
Association)などに代わり、より高速で、キーボードのインタフェース等と共通化を図ったUSBが標
準インタフェースとして採用されています。
　そのため、プリンタなどの周辺機器ではUSBインタフェースの採用が拡大し、またデジタルスチル
カメラやMP3プレーヤーなど、PCと接続するマルチメディア機器においても、USBインタフェースを備
え、音声や画像等の大容量データを高速データ転送するようになってきました。そのため、これらの
機器に搭載されるデバイスにおいても、USBインタフェース対応のニーズが高まっています。

　今回の「SH7622」は、これらのニーズに対応し、「SuperH(TM) RISC engine ファミリ(注2)」の
高性能32ビットCPU「SH-2」コア、DSP(Digital Signal Processor)機能 に加え、USBファンクショ
ン機能を搭載しています。DSP機能を搭載しているため、音声、画像等のデジタル信号を高速に処理す
ることが可能で、さらにUSBファンクション機能の内蔵により、部品数が低減できる上、システムの高
性能化、小型化、低価格化を実現できます。

　本製品は、動作周波数100MHzで、「SH2-DSPシリーズ」としては最高性能の130MIPS/200MOPSを実
現しています。これにより、JPEG(注3)、ADPCM(注4)、MP3などデジタルデータの高速処理が必要なデ
ジタルスチルカメラやMP3プレーヤー等の高性能マルチメディア機器に最適です。また、内蔵している
USBファンクションの機能は、インタラプト、コントロール、バルク転送をサポートしており、USBイン
タフェースを備える機器を容易に設計できます。
  メモリは、キャッシュメモリ8kバイト、RAM16kバイトを内蔵し、DSPの演算性能を最大限に引き出す
ことができます。その上、内蔵RAMは、処理するデータだけでなくCPU命令を格納することもできるため、
高速なリアルタイム処理も可能です。
　電源電圧は、1.9Vと3.3Vの2電源構成です。周辺I/Oピンは3.3Vですが、内部ロジックは1.9Vの低電
圧動作で低消費電力化を図っており、バッテリー駆動の携帯機器にも最適です。

　CPUの命令セットは、「SH-1」「SH-2」と上位互換です。さらに、DSPの演算ユニットは、
「SH3-DSP」と同じ命令セットのため、CPUは「SH-1」「SH-2」、DSPは「SH3-DSP」のソフトウェアを
流用することが可能です。


  本製品は、0.18μm CMOSプロセスを採用しており、パッケージは、LQFP-208ピン、LQFP-216ピン、
CSP-216ピンの3種類を揃えています。開発環境としては、開発クロスソフト、エミュレータ「E8000」、
「E10A」を用意しています。

  今後は、「SH2-DSP」シリーズとして、各種周辺機能に対応した製品ラインアップを強化するととも
に、低消費電力化を図った製品展開を進めていきます。

(注1)MP3: MPEG-1 Audio layer 3の略。MPEGは、Moving Picture Experts Groupの略。
     MPEGは、ビデオなど音声を含むカラー動画像の圧縮・伸長方式の国際標準規格で、
     MP3は、MPEGの音声に関する圧縮・伸長の規格。
(注2)SuperH(TM): SuperHは日立製作所の商標です。
(注3)JPEG: Joint Photographic Experts Groupの略で、カラー静止画像の圧縮・伸長方式の国際標
     準規格。
(注4)ADPCM: Adaptive Differential Pulse Code Modulation の略で、差分を利用した音声の代表
     的なデータ圧縮・伸長方式。

■応用製品例
●デジタルスチルカメラ、MP3プレーヤー、デジタルビデオカムコーダ等のマルチメディア機器
●PDAなどの情報端末
●デジタルスチルカメラ用プリンタ、スキャナ、ストレージ応用機器

                                                                                 以 上

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