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2001年12月4日

 

 
ギガバイト時代のフラッシュメモリとして、
多値で高速書込みを実現する次世代AND型フラッシュメモリセル「AG-AND」を開発
−10Mバイト/秒の高速書込みにより、映画等の大容量コンテンツの高速ダウンロードが可能に−
AG-ANDフラッシュメモリセル  

  日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO長谷川 邦夫)は、このたび、同中央研究所および同デバイス開発センタと共同で、ギガバイト時代のフラッシュメモリ用に多値(注1)で高速書込みを実現する次世代AND型フラッシュメモリセル「AG-AND(Assist Gate-AND)」を開発しました。

  本セルは、セル構造にセル間の干渉を防ぐアシストゲート(Assist Gate)を採用した独自開発のフィールドアイソレーション(Field Isolation)方式を、書込み方式にホットエレクトロン方式(注2)を採用する事により、多値のメモリセル構成でも高速書込みが可能となり、0.13μmプロセスにおいて10Mバイト/秒の書込みを実現できます。
また、さらなる小チップサイズ化も実現でき、大容量データを小型のフラッシュメモリやフラッシュカードに高速で記録することが可能になります。このため、今後映画等の大容量デジタルコンテンツをブロードバンドで受信する際のダウンロード時間を大幅に短縮できます。

<背景>
  AND型フラッシュメモリのようなファイル・ストレージ用フラッシュメモリは、デジタルスチルカメラ、ポータブル音楽プレーヤのみならずデジタルビデオカメラや携帯電話、PDA等の各種携帯機器、情報機器に大容量ストレージROM/カードとして普及しています。また、小容量HDDの置き換えとして産業・通信用途にも需要が伸びています。こうしたなか、さらなる大容量かつ小型化、低価格化を実現するためにはプロセスの微細化に加え、メモリセルの多値化によるチップサイズの小型化が最大のキーポイントとなっています。
  一方、多値化されたメモリセルの書込み時間は、2値のセルに比べて遅いと言う問題点がありました。200万から300万画素程度のデジタルカメラでは、現在の1Mバイト/秒程度の書込み時間で十分であったものが、更なる高画素化やブロードバンドを使った各種デジタルコンテンツ配信の際には10Mバイト/秒程度の高速書込みが必要となります。
  このような小型化かつ高速化の要求に対応するため、当社は「多値で高速な」フラッシュメモリを実現する「AG-AND」型フラッシュメモリセルを開発しました。

<技術の詳細>
  本「AG-AND」型フラッシュメモリセルの構造は、セル間の干渉を防ぐアシストゲートと、フローティングゲートを交互に組合せた当社独自のフィールドアイソレーション方式を採用しています。溝をつくってセルを独立させる従来の浅溝アイソレーション方式(SGI:Shallow Groove Isolation)に比べ、セル面積の小型化が実現できます。
  また、高速化のために書込み方式を従来のF-Nトンネル方式(注3)からホットエレクトロン方式に変更しています。ホットエレクトロンをソース側から注入することでフローティングゲートへの注入効率を上げ、高速化かつ並列書込みが可能となりました。 このため0.13μmプロセス品の製品化にあたっては、チップ内を4バンク構成とすることで高速10Mバイト/秒を実現できます。

本セルの特長は次の通りです。
1. 高速書込みの実現
  書込み方式に高速化かつ並列書込みが可能なホットエレクトロン方式の採用により「多値で高速な」フラッシュメモリを実現しています。0.13μmプロセス品の製品化にあたってはチップ内を4バンク構成とすることで高速10Mバイト/秒を実現でき、通常の音楽CD1枚(圧縮技術を用い64Mバイト程度の容量)が約6秒でフラッシュカードにダウンロード可能となります。 マルチメディアカード(注4)などの小型フラッシュカードが当面の目標としている10Mバイト/秒の書込みを実現したフラッシュメモリ1チップないし2チップを搭載した小型カードを市場に提供可能となります。

2.セルの小型化を実現
  プロセスの微細化のみならず小セルサイズを実現するために、今回の「AG-AND」型ではセル構造を当社独自のフィールドアイソレーション方式に変更しました。0.13μmプロセス時にセル面積0.052μm2(1ビット換算)を実現、現在の浅溝アイソレーション方式での0.18μmプロセス品に比べ1/2以下に小型化が可能となります。

  今後は今回の技術を使ってギガビットクラスのフラッシュメモリおよびそれを使った各種フラッシュカードやシステムを製品化する予定です。

  なお、本成果は12月3日から米国ワシントンD.C.で開催される電子デバイスに関する国際会議「2001 International Electron Devices Meeting」にて発表します。

<用語説明>
(注1) 多値:チップサイズの縮小に有効な大容量フラッシュメモリに適した技術で、通常のメモ リでは'0'/'1'の2つの値を記憶しているのに対し、‘00'/‘01'/‘10'/‘11'等4つ以上の値を持たせるものです。4つの値を持つ場合、1セルで2セル分の働きを実現します。

(注2) ホットエレクトロン方式:チャネル電界で加速されたエネルギーの大きな“ホット”な電子を浮遊ゲートに注入する書込み方式。セルの書込み時間は10μs以下。

(注3) F-Nトンネル方式:浮遊ゲートと基板間に高電圧を印加して、トンネル現象により電子を遊ゲートに注入する書込み方式。セルの書込み時間は50μs以上。

(注4) マルチメディアカード:MultiMediaCardTMは、独Infineon Technologies AGの商標であり、MMCA(MultiMediaCard Association)にライセンスされています。 日立はMMCAのボードメンバーです。http://www.mmca.org/

■照会先

株式会社 日立製作所 半導体グループ システムメモリビジネスユニット
メディアフラッシュプロダクトマーケティングチーム
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電話 03(5201)5021(ダイヤルイン)

■報道関係問い合わせ先
株式会社 日立製作所 半導体グループ 事業企画本部 広報部[担当:依田]
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電話 03(5201)5250(ダイヤルイン)

以 上




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